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【食が進まない理由は?】きざみ食作りの工夫と美味しい介護食を紹介

高齢者に料理を提供する女性


噛む力が低下した方に提供するきざみ食(刻み食)。作るのに手間がかかる割には食べてもらえないという経験はないでしょうか?

きざみ食を食べてもらえない理由は様々ですが、そんなお悩みを解決するために、きざみ食を食べやすくする工夫についてご説明します。

記事の後半にはきざみ食を召しあがられている方におすすめしている介護食「そふまる」に関してもご紹介していますので是非最後まで読んでくださいね。

きざみ食とは?


きざみ食?

「きざみ食(刻み食)」とは、介護食の食事形態の一つです。

介護食の食事形態はきざみ食の他にもソフト食・ミキサー食・ムース食・ゼリー食など被介護者の咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)能力により様々な種類があります。

きざみ食(刻み食)はその中でも咀嚼(噛む力)が低下した方や口が開けづらい方が食べやすいように食品を細かく刻んだ食事のことです。

噛む必要がなくなるので固形物が食べづらかった方でも食べやすくなり、様々な食材を食べることが出来て栄養がとりやすくなります。

食が進まない理由は?

悩む女性

噛むことが困難な方にとって食べやすい形態であるきざみ食ですがメリットばかりではありません。

食が進まない理由としては以下のことがあります。

〈何を食べているのかが認識しづらい〉
食事はまず目で見て食べ物を認識することから始まります。

きざみ食は、食材が細かく刻まれているため、普通食に比べて何の料理か認識しづらく、食べる意欲が湧きにくい食事になります。また、食べたときの食感も感じにくくなります。

〈飲み込みにくい〉
細かく刻んであるため、唾液量が少ないと食べたときに口の中でバラバラになるため、食塊形成が困難な食事となります。

嚥下(飲み込む力)が低下した方にとっては飲み込にくい形態のため、うまく飲みこむことが出来ずに食欲の低下につながってしまいます。

また、バラバラのまま飲み込むと食べ物が咽頭に残ることがあり、それが気管や肺に入ってしまうと誤嚥(ごえん)の原因になります。

若い方であれば、激しく咳をすることで肺から食べ物を取りだすことができますが、高齢者のように体力が低下した人は上手に取り出せずに肺に残ってしまい、誤嚥性肺炎の原因になってしまいます。

また、そのほかにもきざみ食には以下のデメリットがありますので注意が必要です。

〈口の中に残りやすい〉
通常の食事に比べ、歯の隙間に詰まりやすいため、口の中に残りやすいです。しっかり歯を磨かないと虫歯になり細菌が増殖してしまいます。唾液や食事残渣とともに増殖した細菌が肺に入ると誤嚥性肺炎の原因になってしまいます。

〈かさが増えるので完食できない〉
きざみ食は刻むことで通常食よりもかさが増す食材もあります。かさが多いと見た目で満腹感を感じて食欲が低下し、必要な栄養量がとれなくなり体重減少の原因となります。

〈咀嚼能力・味覚の低下〉
高齢になると、歯の欠損や義歯が合わないことで噛めなくなり筋力低下や咀嚼能力の低下につながります。

噛まないことで唾液が十分に分泌されなくなり、食塊の形成が困難になって飲み込みにも影響が出ます。

また、味覚も低下するため、味が薄く感じやすくなります。

きざみ食を食べやすくする工夫

刻んだ野菜

きざみ食は食材選択から盛り付けまでの調理工程で見た目・味・盛り付けなど様々な工夫をすることで食べやすくすることが出来ます。食べやすくすることで食欲低下の防止につながります。

ポイントを調理工程ごとに紹介しますので是非試してみてください。

〈食べやすくする工夫と作り方のポイント〉

【食材選び】
柔らかいものや煮込むことで柔らかくなる食材を選びます。

筋の多い肉や、芋類など水分の少ないもの、海苔やわかめなど喉に付着しやすいものは、被介護者が飲み込みづらい食品になります。

飲み込みづらい食材は出来るだけ使用しないようにし、代替えできる食材や以下の調理方法で食べやすいように工夫しましょう。

【下ごしらえ】
下ごしらえを工夫することで柔らかくすることが出来る食材があります。

お肉は繊維を断つように筋切りをしたり、叩くことで柔らかくすることが出来ます。

野菜や根菜は繊維を断つように切ると細かくきざみ過ぎなくても食べやすくなります。

お肉やお魚料理を食べやすくする方法は下記の記事で詳しく紹介しています。↓
【高齢者でも食べやすい】お肉料理を柔らかくするおすすめの方法

【高齢者の食事の注意点】魚料理を簡単に食べやすくする方法

【調理・味付け】
食材を煮込んだり、蒸したりして柔らかくし、食べやすくします。

圧力鍋を利用してやわらかく仕上げたり、水分を多めに入れて調理し、しっとり焼き上げたり、炒めたりすると口の中でまとめやすく、飲み込みやすくなります。

高齢になると味覚が低下し、味が感じにくくなることがあります。そのため、しょうゆや塩で味を濃くしすぎる傾向があります。

しかし、多くの高齢者の方は高血圧予防のために塩分を控える必要があります。

味が薄くなることで食欲低下につながることもあるため、塩やしょうゆの代わりに出汁やスパイス、香味野菜、柑橘類を活用することで、減塩しながら満足感のある味付けにしましょう。

減塩のコツは下記の記事で詳しく紹介しています。↓
【高齢者の塩分摂取量を調整】減塩しても美味しく食べられる介護食

【刻み方】
刻む前に元の料理を見せてあげて料理名を伝えることも食欲増進につながります。

調理した食材は小さく切る(約1cm角程度)ことが一般的ですが、被介護者の嚥下咀嚼の状態に合わせた大きさにすることが重要です。

かたい食材やパサついた食材は口の中や喉の奥で、バラけてしまい飲み込みづらくなってしまいます。その場合は出汁などの水分を足したり、とろみ剤でとろみをつけることでまとまりが出来て飲み込みやすくなります。

必要以上にきざみ過ぎてしまうと、被介護者の嚥下能力を下げてしまうリスクがありますので注意が必要です。

【盛り付け】
見た目の良さや香りが食欲に影響を与えます。

彩り豊かな食材を使用することで、見た目が華やかになります。赤・橙・黄色などの暖色系の食材や緑色は、食欲を刺激する効果があるため上手く取り入れると食欲増進につなります。

また、柑橘類やスパイスを使うと香りで食欲を刺激することもできます。

ここまでは食べやすくする工夫をお伝えしました。

きざみ食は、被介護者の嚥下咀嚼の状態や健康状態に合わせて大きさやとろみを調整することが大切です。

日々の状態をよく観察して必要に応じて、医師や栄養士の指導を受けながら進めてください。 

「そふまる」はきざみ食を召しあがられている方におすすめ

そふまるの介護食

そふまるは、咀嚼や嚥下能力が低下した人に食事を目で楽しんでいただけるよう、素材の形を残す製法でやわらかく調理しています。老人ホームや介護施設での食事サービスにもご利用いただいています。

UDF(ユニバーサルデザインフード)区分の歯ぐきでつぶせる、舌でつぶせるやわらかさの商品がきざみ食を召しあがられている方におすすめしている区分です。

UDF区分については下記の記事で詳しく紹介しています。↓
【食事介助の注意点】高齢者の食事形態・噛むレベルを知るUDFとは?

そふまるは、口の中でまとまりやすく飲み込みやすいように配慮しています。

きざみ食の方にもおすすめしておりますのでぜひお試しいただきたいです。

牛肉の甘辛煮

牛肉の甘辛煮

UDF区分:「歯ぐきでつぶせる」

甘辛い煮汁がしっかりとしみ込んだ、牛肉の煮ものは食欲をそそります!!

牛肉の甘辛煮の詳細はこちら
さばの味噌煮

さばの味噌煮

UDF区分:「舌でつぶせる」

脂がのったさばを使用し、生姜の風味と味噌のコクをしっかりとしみ込ませ、とろけるような食感です。
骨取りのさばなので、安心してお召し上がりいただけます。

さばの味噌煮の詳細はこちら
歯ぐきでつぶせる商品はこちら


今回は、咀嚼が低下した方や口が開けづらい方に提供される「きざみ食」について紹介しました。

きざみ食は、食材を細かく刻むことで食べやすさを向上させ、栄養バランスのとれた食事ができるようになります。

しかし、食べ物の認識ができずに食欲がわかないことや、誤嚥の危険性があるため注意が必要です。

調理に少し工夫をすることで食べやすくすることができます。

また、普段のお食事に、ご紹介した見た目はそのままでやわらかい特徴のそふまるの商品やUDF認証の商品を取り入れて、安全に簡単に美味しくお食事を楽しんで頂けたらと思います。

監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士の資格を取得し亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています