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【高齢者の食事の注意点】魚料理を簡単に食べやすくする方法

魚料理 お試し12食セット

高齢者の食事で考えなければいけないこと

高齢になると、食が細くなったり、食欲がわかず、十分な栄養を摂れず健康を損ねてしまうことがあります。

特に魚から摂取出来る栄養素は、高齢者の健康を維持する上で重要な栄養素になりますが、調理する上で、魚の骨は誤嚥・誤飲のリスクも高く、気を付けながら調理が必要な食材です。

まずは、高齢者の食事を作る際に注意しなければならないポイントをご説明いたします。

ポイント① 誤嚥(ごえん)のリスク

誤嚥とは、飲食物や異物・唾液などを飲み込んだ時に、食道ではなく、誤って気管内に入り込んでしまう状態のことを言います。 誤嚥をすると、肺で炎症を起こし誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。

誤嚥の原因としては、嚥下(えんげ)機能の低下があげられます。 嚥下機能の低化にはさまざまな要因がありますが、もっとも多いのは加齢によるものと言われています。

嚥下機能が低下している高齢者は、誤嚥したことに気がつかないこともあります。 そうすると、肺の中に入った食べ物や唾液、細菌が増殖し、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

誤嚥性肺炎の症状は、風邪と症状が似ているため、間違って診断されてしまうこともあり、発見が遅れる可能性があるため、日頃からまわりの方の注意が必要です。

<嚥下機能低下のサイン>
・食事中によくむせる
・固形物を噛んでうまく飲み込めない
・食事に時間がかかる
・食後に痰が出る
・食べ物が口からこぼれる
・食べ物が口の中によく残っている
・食事後に声がかれる
・食事中や食後にせきが出る。


など、他にもさまざまな症状がありますが、こういった症状により、うまく食事が飲み込めなくなった結果、 窒息や栄養不足・脱水症状・誤嚥性肺炎といった重症化に繋がる可能性が高くなります。

高齢者は自覚症状がない場合もあるため、周囲の人が見守ることはもちろん、食事内容の見直し・食事する際の姿勢や食後・就寝前の口腔ケア、嚥下体操、誤嚥対策を行うようにしましょう。

ポイント② 栄養バランスの偏り

高齢者の食生活は、噛む力が弱くなり、食事が食べにくくなるといった理由から、食欲の低下が起こり、徐々に食事量が減って、さらには体力の低下により、買い物や料理が億劫になる傾向があります。
また、同じ食事を食べ続けたり、調理が簡単なもので済ませてしまうことが増えるとも言われています。

このような食事を続けることで、身体に必要不可欠な栄養素がとれず、低栄養となり栄養バランスが偏る可能性があります。

※低栄養とは...からだの維持に必要な栄養素(タンパク質・ビタミン・食物繊維など)が不足している状態のこと。

ポイント③ 味覚が衰える

食事を楽しむ高齢者

食事をおいしく食べるためには、味覚はとても大切です。 しかし個人差はありますが、高齢者の多くは味覚が低下すると言われています。

味覚低下のおもな要因としては、加齢による身体機能の低下です。 口腔内や舌には「味蕾(みらい)」という味を感じる部分があります。これは加齢により、徐々に減少し、高齢者は新生児に比べて3〜5割ほど味蕾が少ないといわれています。

加齢により噛む力が弱くなり、唾液分泌量が減ることで、口の中が乾燥していることも、味蕾の働きを低下させ、味が感じにくくなる原因のひとつとなっています。

この味蕾が正常に働くためには、亜鉛や鉄といった成分が必要になります。しかし、糖尿病や腎臓病などで、腎機能が低下することで、味を感じるために必要な亜鉛を体外に排出してしまったり、薬の副作用により亜鉛不足になり、味覚障害が起きるケースもあります。

味覚を感じにくくなった場合は、かかりつけ医に相談または、味を感じるためのサポートをしてみましょう。

<味覚を感じにくくなった時の対策>
・うがいをこまめにし、口腔内の乾燥を防ぐ
・舌ブラシで舌を磨く
・唾液線をマッサージし、唾液分泌量を増やす
・味蕾の働きを助ける「亜鉛」をしっかりと摂る


加齢による味覚障害では、特に「塩味」「甘味」の味覚低下が起こります。 その結果、濃い味付けを好み、料理に塩や醤油・砂糖などを多く加え、塩分・糖分の過剰摂取が続き、高血圧や糖尿病といった病気になってしまうこともあります。

味を濃くしなくても、美味しく食べられる献立などを考え工夫してみましょう。そうする事で食事が楽しくなり、食欲増進にもつながります。

ポイント④ 食べ物を咀嚼する力が弱くなる

私たちは、食事をするときに無意識に「咀嚼(そしゃく)」をしています。しかし近年ではこの咀嚼数が減少しているとも言われています。 特に高齢になると、顎の筋肉の低下や歯の喪失により、硬いものが食べづらくなり、柔らかい食べ物を好んで食べるようになることで、より咀嚼(噛む力)の機能が低下します。

咀嚼は、食べ物を消化しやすくする役割があるため、しっかりと咀嚼をすることで、食べ物が細かくなり、胃や腸での消化吸収もしやすくなります。

咀嚼機能の維持に欠かせない口腔内の運動機能は、加齢とともに低下するため、噛むための筋力を鍛えることが大切です。

舌を動かすストレッチや、口唇のトレーニング唾液腺マッサージなどを毎日少しづつ続けるようにしましょう。 家族や友人と一緒に取り組むことで、コミュニケーションをとることもできます。

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高齢者が魚を食べる上でのリスクとは?

煮魚

年齢を重ねると、肉や魚も濃い味付けより、あっさりとした味付けを好んだりと好きな食べ物が変わることがあります。また一人暮らしや家族と同居していても、日中はひとりで過ごすとなると、手軽に食べられるめん料理やパンなどですませてしまう方も多くなります。

しかし、心身の調子を整え、感染症などの抵抗力を保つ上で、十分にたんぱく質を摂る必要があります。たんぱく質の摂取量不足により、筋肉量の減少や筋力が低下します。高齢者は少なくとも 1.0 g/kg体重/日以上のたんぱく質を摂取することが望ましいと言われています。

しかし、魚を食べる上で、注意しなければいけないことがあります。無理をして食べると、喉に詰まらせる原因になる場合もあるため、以下の点に気をつけることが大切です。

・小骨に注意
小骨が多いと料理を食べにくくしたり、骨が喉に引っかかるなどの危険性が高まります。骨はなるべく取り除くようにしましょう。

・パサついて飲み込みづらい
魚は身も柔らかく、食べやすい食事と思われていますが、魚の種類や調理方法によって、硬くなったり、パサついて飲み込みにくくなってしまうことがあります。

50年の給食事業で得た食べやすくするためのノウハウ

さば

当社は、給食サービス事業を50年あまり続ける中で、たくさんのノウハウを蓄積してきました。介護施設でお召し上がり頂く食事の献立は、当社の栄養士が立案しています。

十分な栄養価や食材の組合せ、旬の素材の使用や飽きのこない新メニューなどを日々考えています。一品一品丁寧にレシピを考えていますが、実際にお召し上がりいただくと、完食頂きご好評頂ける献立とそうではない献立があるのも事実です。

それは、毎日数千人の高齢者の方に私たちの食事を召し上がって頂き、日々その反響を頂くことでノウハウが蓄積されていきます。高齢者の好まれる食材や調理方法で変化する食べやすさの傾向、味付けの好みの傾向などが見えてきます。

例えば、同じ鯖を使用した献立でも塩焼きや味噌煮などの定番メニューが好まれ、完食率が高いです。そふまるの商品は、そのような長年の傾向をデータ化することで、多くの方に喜んでいただけるよう素材・調理方法・味付けなどに活かしています。

ここからは、高齢者でも安心して食べられる魚料理の手順をご紹介いたします。

・骨取りの魚を使用する
小骨が多いと料理を食べにくくしたり、骨が喉に引っかかるなどの危険性が高まります。骨はなるべく取り除くようにしましょう。

・パサついて飲み込みづらい
近頃では、あらかじめ骨を抜いた魚「骨取り魚」が、一般消費者でも購入ができるようになっています。鮮度が落ちないように管理しているため、高齢者でも安心してお召し上がりいただけます。

・中骨がある場合は毛抜きで丁寧に抜いてから切る
噛む力や飲み込む力が衰えた高齢者は、小骨がのどに刺さりやすいため、骨を1本1本、調理用の毛抜きやピンセットで抜くようにしましょう。

・焼き魚より、煮魚や蒸し魚にする
咀嚼する力が弱くなっている方は、舌と口蓋で簡単に押しつぶせるように調理することが好ましいと言われているため、焼き魚ではなく、柔らかく煮た煮魚や蒸し魚がおすすめです。 魚の血合い部分は加熱するとかたくなり、冷めるとパサつくので、飲み込みにくい人にとっては危険になってしまいます。

あんをかけた魚
・あんをかけてまとまりやすくする
唾液の分泌が少なくなり、刻んだ食べ物・パサつくものは、口の中でまとまらず、口の中にかけらが残ってしまいます。そのため、あんをかけることで、飲み込みやすくなります。

・脂肪の多い白身魚を選ぶ(カレイ、サーモン等)
脂肪が少ない魚は、パサつきやすく、喉に詰まる可能性があるため、やわらかい脂肪の多い白身魚を選ぶことがおすすめです。

シャケの切り身
・刺身は繊維と直角に切る
繊維は噛み切りにくいため、繊維を断ち切るように直角に切りましょう。

・臭みを抑える→浸透圧で魚のドリップ(血合いなどの水分)を出す
魚の生臭さを取り除くため・味付けのために、魚を焼く前に塩を振る方も多いと思います。しかしなぜ臭みが取り除けるのか、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。 魚に塩をふりかけて少し置いておくことで、表面にじんわりと水分が滲んできます。

塩
これは、魚の表面近くの塩分濃度が高くなり、それを薄めようという浸透圧の働きによって、魚の中の水分が表面に引き出されたもの。中の水分が出てくることによって、身が締まり崩れにくくなります。

さらに、この中からの水分には魚の生臭さも含まれているので、身が締まると同時に生臭さも除去できる効果があるため、魚を焼く前には塩を振るようにしましょう。

魚の表面に滲み出てきた水分は、焼く前にペーパータオルなどで拭き取りましょう。せっかく浮き出た、余分な水分と一緒に中から出てきた魚の臭みがくっついたままになってしまいます。

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高齢者向けの魚がもたらす健康上の効果(栄養素)

魚にも多く含まれる成分、「DHAやEPA」は、人が生きていくための大切な働きを担う重要な栄養素です。DHAとは「ドコサヘキサエン酸」の略称で、EPAとは、「エイコサペンタエン酸」の略称です。

DHAとEPA
このDHAやEPAは、マグロやサンマ、イワシといった青魚の頭の部分や、目の後ろの脂身に特に多い“脂肪酸”と呼ばれる成分です。特徴としては、透き通っていてサラサラとしていること。

一般的に、脂=身体に悪いもの などといったイメージを持っている方も多いと思いますが、DHA や EPAは健康維持に役立つことが研究で明らかになっています。このDHAやEPAは体にとって大切な栄養素ですが、体内でほとんど作ることができません。そのため食事によって摂取しなければならないため、必須脂肪酸と呼ばれています。

大切な家族に健康で元気にいてもらうために、高齢者の食事に注意すべき理由について知っておくことが重要です。これから介護が必要になる方や、介護中の方もぜひ目を通してみてください。