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【第七回】春野菜の栄養を逃がさない、介護食の調理方法

第七回


こんにちは、ふーこです。
これから介護を始める方や既に介護に携わっている方に介護食について知っていただくため、そふまる工房で管理栄養士として働く上田先生にインタビューしていきます。

前回は自宅で作るやわらか食について、話をお聞きしました。

今回は春が旬の食材と栄養素を逃がさない介護食作りに役立つ調理方法について、上田先生に詳しくお聞きしていきます。

上田先生、今回もよろしくお願いします!



よろしくお願いします!

春が旬の食材と高齢者に摂ってほしい栄養素



では、早速ですが、春が旬の食材を教えてください!



はい!春には「新」と付く野菜が出回ります。
キャベツ・玉ねぎ・じゃがいもは年中ありますが、この時期のものは春キャベツ・新玉ねぎ・新じゃがと呼ばれ、柔らかくて水分が多いのが特徴です。



中でも高齢者におすすめの食材はありますか?



特におすすめの食材は、柔らかくて水分の多い春野菜を代表する春キャベツです。

高齢者の食事は火を通したものが多いので、ビタミンCが不足しがちです。
ですのでキャベツは生で食べた方が、加熱した時よりもビタミンCやカリウムなどの栄養の損失が少ないです。



なるほど...生野菜は難しいという方でも、普段よりも火を通す時間を短めにすることで加熱によるビタミンCの損失も少なく春キャベツを美味しくいただくことができそうですね!



そうなんです。
また、ビタミンCには以下のようなメリットも豊富なので、高齢者の皆さんには積極的に摂ってほしいですね。

・動脈硬化の予防
・ストレスやうつなどの心理的な症状に役立つ
・抗酸化作用・免疫力を高める
・抗がん作用
・コラーゲン生成


新じゃがや新玉ねぎは、柔らかくて水分が多いので、高齢者にとっても食べやすいと思います。

新じゃがに含まれるビタミンCは普通のじゃがいもの【約2~4倍】とも言われ、皮が薄いので皮ごと食べやすいのも特徴です。



栄養素の量もそこまで違うとは驚きです!

介護食作りに役立つ栄養素を逃がさない調理方法


春キャベツ

それでは、春が旬の食材を調理するうえで気を付けたほうが良いことを教えてください。


キャベツに含まれるビタミンCは水溶性なので水に長くさらしすぎないようにしましょう。

またビタミンCは体外への排出スピードが早いので、毎食の食事に野菜や果物を取り入れてこまめに摂取することが大切です。



一度に沢山食べるというより、毎食副菜として取り入れるイメージですね!



はい!
また新玉ねぎは普通の玉ねぎと水分量が異なるだけで、栄養に違いはないとされています。

新玉ねぎを生で食べる時は、水にさらすと栄養が水に溶け出てしまうので、空気にさらして辛味を和らげることをおすすめします。

新たまねぎ


空気にさらすだけで辛味を和らげることができるなんて、知りませんでした!
水に栄養素が溶け出しやすい食材は他にもありそうですね…



はい、新ごぼうも同様に水にさらす時は注意が必要です。
実は、水にさらした時に出てくる赤茶色の成分はポリフェノールなんです。

新ごぼうはえぐみも少ないので、さっと水にさらしたらすぐに調理するのがポイントです。

ごぼうの皮には、タンニンやクロロゲン酸などの抗酸化作用があるポリフェノールが豊富です。

ごぼうの香りは皮に近いところに含まれているので、皮は剥かずにたわしなどで洗う程度で食べるのがおすすめです。



そうなんですね!勉強になります!
栄養素を効率良く摂取するために、組み合わせると良い食材はありますか?



ビタミンCはビタミンEと一緒に摂ると相乗効果が得られます。
ビタミンEが含まれる食材はこちらです。

納豆/かぼちゃ/モロヘイヤ/煎茶/うなぎ/調整豆乳/鯵



新玉ねぎと相性の良い食材はありますか?



新玉ねぎに含まれる硫化アリルは、ビタミンB1と一緒に摂ると疲労回復効果が期待できます。
ビタミンB1の多い食材はこちらです。

豚肉/レバー/大豆

そふまるの介護食で味わう春メニュー



最後にそふまるの商品と春の食材を使ったメニューをご紹介いただきたいです!



はい、電子レンジ調理でビタミンCやβ‐カロテンの流出を最小限に抑えた「ブロッコリーのちりめん和え」のレシピを以前ご紹介しました。

ブロッコリーのちりめん和えのレシピはこちら

彩りも豊かなので、食卓に映えそうですね!



そふまるからも、付け合わせに便利なブロッコリーも販売しています。

下処理や茹でる必要もなく電子レンジ加熱するだけの簡単調理ですぐ食べることができるので、是非チェックしてみてください。

ブロッコリー

ブロッコリー
UDF区分:「舌でつぶせる」

ブロッコリーの鮮やかな色を残し、コンソメ味に仕上げました。甘味が溢れる美味しさです!!

ブロッコリーの詳細はこちら


栄養を逃がさない調理の工夫をしたレシピとして、「新じゃがの木の芽味噌かけ」のレシピも考案しています。

新じゃがの木の芽味噌かけ
新じゃがの木の芽味噌かけのレシピはこちら


じゃがいものビタミン流出を防ぐために、皮ごと調理しているんですね!


はいそうなんです。
じゃがいものビタミンCは、でん粉に守られているので熱に強いとされていますが、水には溶けやすい性質があります。

皮を剥いて茹でると60%が流出してしまうため、切り口を水にさらさず皮ごと蒸す方法で、ビタミンの流出を10%に抑えることができると言われています。

皮には老化防止の効果が期待できる、クロロゲン酸というポリフェノールも豊富です。



皮を剥く手間も省けて栄養もしっかり摂れるのは嬉しいですね!

今回は、介護食作りにも役立つ栄養素を逃がさずに美味しく食べられる調理方法をお聞きして、私も試してみたいと思いました。

上田先生、今回もありがとうございました!


こちらこそ、ありがとうございました!
次回もよろしくお願いします。



監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。