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【とろみ剤の種類と使い方】高齢者にも安心な嚥下食レシピ

【とろみ剤の種類と使い方】高齢者にも安心な嚥下食レシピ


加齢により飲み込む力が弱くなり、食事の際にむせてしまうことが多いという方向けに介護の現場で使用されている「とろみ剤」。

嚥下(えんげ)機能が衰えてくると、食べ物が食道ではなく気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)を起こしやすくなります。

この誤嚥を防ぐ有効な方法として一般的に「とろみ付け」が用いられます。

介護食の基本とはいえ、これから食事介助を始める方にとっては、どうやって使用すれば良いのか、どう選べば良いのかよく分からないという方も多いと思います。

今回は、とろみ剤の種類や使い方を解説していきます。

また、記事の最後にはとろみ付けをしたアレンジレシピもいくつかご紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。

とろみ剤とは?

とろみ剤とは、食べ物や飲み物に加えて混ぜるだけで、適度なとろみをつけることができる粉末状等の食品です。

一般的な料理では片栗粉を使ってとろみをつけることが多いですが、とろみ剤は片栗粉のように加熱しなくても簡単にとろみをつけることができます。

また、片栗粉は温度が下がったり唾液と混ざることによってとろみが弱まりますが、とろみ剤は温度に関係なく、混ぜた量だけとろみがつくので簡単に調整もできます。

介護食に「とろみ」が必要な理由

介護食に「とろみ」が必要な理由

加齢によって飲み込む筋力が低下し(嚥下障害)、食べ物や飲み物が気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)といいます。

高齢者の場合は飲み込むスピードが遅く、サラサラとした汁物などが特に気管に入り込みやすく、むせてしまう恐れがあります。

こうした誤嚥(ごえん)を防ぐために、介護食には「とろみ」が必要なのです。
また、食べ物や口内の細菌が肺に入ってしまうと、炎症を起こし、誤嚥性肺炎を発症するリスクもあります。

パサパサした焼き魚やおから・ひじき等の料理にも、とろみをつけることで、食べ物がまとまりやすくなり、ゆっくり喉へ送られるので、飲み込みがしやすく なります。

とろみ剤の種類と使い方

とろみ剤は、「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」の3段階に分けられています。

参考:学会分類2021 (食事)早見表 についてはこちら


とろみ早見表
とろみ剤を選ぶときのポイント

とろみ剤を選ぶときのポイントは以下の5つです。

・溶けやすくダマになりにくい
・べたつきにくい
・とろみを調整しやすい
・味や匂い、色が変わりにくい
・温度に影響がない

とろみ剤には大きく3つの分類があり、近年はキサンタンガム系のとろみ剤が主流となっています。
それぞれ原料が異なり、新しい世代ほど使いやすく改良されています。

デンプン系(第1世代)/グアガム系(第2世代)/キサンタンガム系(第3世代)
とろみ剤を使用する際の注意点

【使用量を厳守する】
とろみ剤の量が多すぎたり、時間を置きすぎたりすると粘度が強くなります。喉に張り付き、誤嚥の原因になるので注意が必要です。 

商品の使用方法を守り、計量スプーンは毎回同じものを使うようにしましょう。

【混ぜ方に注意する】
とろみ剤を加えた後はすぐにかき混ぜないとダマになりやすく、とろみが必要な濃度にならないことがあります。

混ぜながら少しずつとろみ剤を加えるのが、均一にとろみをつけるコツです。

高齢者も食べやすい、とろみのある嚥下食レシピ

ここでは高齢者でも食べやすい、とろみのあるレシピをご紹介します。

とろろ汁

とろろ汁

★レシピのポイント
とろろは常食ですが、飲み込む力が低下した方に食べやすい嚥下食としての効果もあります。
同じくヌメリがあるオクラとなめ茸はとろろと合わせることで食べやすくなります。
そふまるの「やわらかごはん」にかけてお召し上がりください。

とろろ汁
〈材料〉2人分
山芋...200g
めんつゆ(2倍濃縮)...大さじ1(18g)
冷凍オクラ...20g
なめ茸...20g


〈作り方〉
①長芋は皮を剥いてすりおろします。

作り方1
②めんつゆ・なめ茸・解凍したオクラを入れて混ぜます。

作り方2
③器に盛り付けて完成です。

作り方3

やわらかハンバーグのみぞれあんかけ

やわらかハンバーグのみぞれあんかけ

★レシピのポイント
水分が比較的多いみぞれにとろみをつけることでより食べやすくなるように工夫しました。
さっぱりなお味なのでパクパク食べられますよ。

やわらかハンバーグのみぞれあんかけのレシピはこちら



今回は、介護食の基本とも言える「とろみ剤」の種類や使い方をご紹介しました。

嚥下機能が低下してきた方にとって、液体状の食べ物や飲み物は時に危険なものになりえます。

とろみ剤はこうした高齢者に食事を楽しんでいただくため、また食事介助に携わる方々の負担を少しでも減らすために作られています。

注意点を守り、正しく使用すれば、食生活を豊かにしてくれるとても便利なアイテムです。
正しい知識を身につけ、とろみ剤を上手に活用していただければと思います。

また、今回ご紹介したとろみのあるアレンジレシピも参考にしていただき、安全に食事を楽しんでほしいと思います。



監修者
上田 稚子(Ueda Wakako)  管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。