高齢になると、噛む力や飲み込む力が低下することで食べにくい食材が増え、食が細くなり、栄養不足に陥りやすくなります。
食事を美味しく、そして安全に楽しんでもらうには、高齢者の方に適した食事の注意点を知ることが大切です。
高齢者が食べにくいと感じる食品の一つに「麺類」があげられます。
麺を「すする」という行為は、実は嚥下(えんげ)機能が低下した高齢者にとってはとても難度の高い食べ方です。
今回は高齢の方が麺を食べにくい理由や、食べる際の注意点を解説いたします。
目次3では、そふまるの「やわらかうどん」を特集しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
高齢者は麺が食べにくい?
冒頭でもお伝えした通り、高齢者は噛む力や飲み込む力が弱まり、嚥下(えんげ)障害になる方が多いです。
嚥下障害とは、加齢や疾患などで飲み込む力が低下することです。
食べ物を上手く飲み込めないために食事が進まず、栄養不足や脱水状態になってしまうこともあります。
また唾液や食べ物・細菌が、気管や肺に入ってしまうことで誤嚥性肺炎を引き起こすリスクもあるため、その方の食べる力に合わせた食事を提供することがとても大切です。
ここでは、高齢者が麺を食べにくい理由を解説します。
まず特徴としては、咀嚼力(噛む力)・嚥下力(飲み込む力)・唾液の分泌量が低下していることが原因としてあげられます。
麺を「すする」という食べ方は、簡単なように見えますが、鼻呼吸と口呼吸を同時に使い分けており、喉の力を必要とするので、実は高齢者にとっては難しく、誤嚥(ごえん)のリスクも高いと言えます。
高齢者は麺を上手くすすることができないことに加え、歯が少ない方や力が弱いために噛み切ることができず、食べにくいと感じてしまうのです。
また、うどんやそばは通常お箸で食べますが、手指の筋力低下、巧緻性(細かい動作)の低下により、お箸が上手く使えなくなることも食べにくい要因の一つとして考えられます。
麺を食べる時の注意点
ここでは高齢者が麺を食べる時によく起こること、注意してほしい点をご紹介します。
①噛み切れない
普段きざみ食を食べている方でも、麺は噛まなくても食べられるという方がいたり、個人差があるので、その方に合った麺の長さに調理する必要があります。
施設では基本的に麺は10㎝程度の箸で持ち上げやすい長さか、スプーンに乗る長さにしています。
スプーンで食べる場合は、麺と汁を同時に食べることになるので、汁の味を濃くしすぎないように注意しています。
また、うどんはコシのある麺よりも、稲庭うどんのような柔らかくて細い麺を選ぶことがポイントです。
②飲み込めない
高齢者は唾液の分泌量が少ないため、食べ物を口の中で咀嚼しにくく、飲み込みにくくなります。
焼きそばのように喉ごしがパサつきやすい料理は、あんかけ焼きそばにしたり、ラーメンは五目ラーメンにして、汁にとろみをつけると食べやすくなります。
③むせたり、咳き込むことがある
サラサラとした汁物は気管に入り込みやすく、むせたり咳き込んでしまう可能性が高いです。
とろみをつけたり調理を工夫する他、一口の量は少なめにゆっくり食べてもらうように意識しましょう。
また正しい姿勢で、顎を引き気味にすることでむせにくくなります。
高齢者でも安心!やわらかうどんのご紹介
麺類はすするのが難しい一方で、食欲がない時にも美味しく手軽に食べることができるので、ジャンルを問わず人気なメニューでもあります。
噛む力や飲み込む力が弱い方には、食べやすく調理された介護食がおすすめです。
そふまるでは「高齢者にも安心して美味しく麺を食べてほしい」という想いから「やわらかうどん」、「やわらかそば」を販売しています。
スプーンですくいやすいように短く切った麺を使用し、歯ぐきでつぶせる柔らかさに仕上げています。
うどんには、食欲をそそる焼きあごの香ばしい風味のお出汁を使用、そばには鰹節をたっぷり使ったまろやかな味わいのお出汁を使用しています。
蒲鉾は、高齢者施設でも人気のやわらかく、噛み切りやすい蒲鉾を使用しているので食べやすいです。
容器ごと電子レンジで温めるだけの簡単調理なので、いつでも食べたい時に手軽に用意できます。
また、お好みで生姜や七味、柚子胡椒などの薬味を付けてアレンジもお楽しみいただけます。
今回は高齢者にとって麺が食べにくい理由や、食べる際の注意点をご紹介しました。
麺類に限らず、食べやすい食事は、やわらかさやまとまりやすさといった単純な「食事形態」だけで解決できるものではありません。
食べる場面や被介護者の食べる様子を観察することと、少しの工夫でその方に合った「食べやすさ」を見つけることもできると思います。
今回ご紹介した注意点を踏まえながら、そふまるの商品も上手くご活用いただき、美味しく、そして安全に食事を楽しんでいただけるきっかけとなれば嬉しく思います。
監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。