高齢になると、噛む力や飲み込む力が低下し、食物繊維を多く含む野菜を食べるのを避けがちになる傾向があります。
野菜に豊富な食物繊維が不足すると、栄養バランスが偏ってしまったり、腸内環境の悪化により便秘になりやすくなります。
また噛む回数が減ると唾液の分泌量も減少し、口の中が渇きやすい状態になります。
唾液の減少は、食べ物を飲み込みにくくし、誤嚥(ごえん)を招く恐れがあります。
介護食を提供する時には、食材の切り方や調理方法を工夫し、できるだけ食べやすくする必要があります。
今回は野菜を美味しく食べてもらうために、高齢者の方でも食べやすい野菜の調理方法や栄養についてご紹介します。
高齢者は野菜が食べづらい?
食物繊維が多い野菜は高齢者の方にとっては硬く、食べにくいものが多いため栄養に偏りが出てしまいます。
ごぼうやレンコンといった繊維が多く硬い食材は、加熱しても硬さが残ってしまいやすく、噛み砕くための力が必要です。
特に噛む力が弱い方は噛み切れず、口の中に残ってしまう可能性があるので、細かく刻んだり、とろみをつけて食べやすくしましょう。
高齢者が食べにくい野菜は以下です。
キャベツ・きゅうり・レタス
【繊維質な野菜】
ごぼう・たけのこ・セロリ・アスパラガス
野菜を食べやすくする調理方法については目次3でご紹介します。
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高齢者に嬉しい野菜の栄養と効果
野菜や果物に含まれるカロテンやビタミンEには、認知症のリスクを低下させる効果があることが知られています。
特に「緑黄色野菜」に含まれるカロテンには、抗酸化作用があり、老化防止や免疫機能の低下を抑制する働きが期待されます。
緑黄色野菜とは、にんじんやピーマン、かぼちゃなどの色が濃くカラフルな野菜で、100g中カロテンを600㎍以上含む野菜のことを指します。
ここでは高齢者の人にも嬉しい栄養と効果を持った緑黄色野菜をいくつかご紹介します。
【にんじん】
にんじんにはビタミンAが豊富に含まれ、目の機能を助けたり、皮膚や粘膜の健康を守る働きがあります。
その量は80g程度のにんじん1本分で1日分のビタミンAを摂取できるほどです。
体内でビタミンAに変換されるカロテンは皮の部分に一番多く含まれているため、調理するときは皮ごと使用するのがおすすめです。
【ほうれん草】
野菜の中でも鉄分が多く、その吸収を高めるビタミンCも豊富に含んでいます。
その他にも貧血予防に効果的な葉酸、腸内環境を整える食物繊維なども多く含むため、栄養価の高い野菜です。
旬は11月~1月なので、冬場のほうれん草は特にビタミンCを多く摂ることができます。
【トマト】
トマトの赤い色素成分であるリコピンは、体内で生成することができない栄養素です。
美容効果が高い栄養素としても知られていますが、免疫機能の低下や動脈硬化などを予防する効果も期待できると言われています。
【種類別】食べやすくする調理のポイント
ここでは噛む力や飲み込む力が低下した高齢者の方でも野菜を食べやすくする調理のポイントをご紹介します。
●葉物野菜
なるべく柔らかい葉先の部分を使いましょう。
キャベツなどの芯や繊維質なところは断ち切るように細かくカットするのがポイントです。
●根菜類
根菜類は厚めに皮を剥いて繊維を断つように切って煮込むことでスプーンの背で潰せるくらい柔らかくなります。
ごぼうやれんこんなどの繊維質な野菜も時間をかけて煮ることで柔らかく、隠し包丁を入れることで噛み切りやすくなります。
●イモ類
一口サイズの食べやすい大きさに切りましょう。
イモ類は調理しやすく高齢者にも好まれる野菜です。
加熱したら温かいうちに潰すのがポイントです。パサつきやすく口の中でまとまりにくいものは、片栗粉やとろみ剤、マヨネーズなどの調味料を使うことで食べやすくなります。
また、旬の野菜は比較的短時間の加熱で柔らかくなるので、食材を選ぶ際は意識してみましょう。
やわらかおかずセットのご紹介
喫食者の噛む力に合わせたお食事を毎食自宅で用意するとなると、時間をかけて煮込んだり細かく切ったりと、どうしても時間がかかってしまうものです。
「少しでも時短したい」「あと一品ほしい」という時に、そふまるの冷凍介護食を活用してみてはいかがでしょうか。
そふまるではお客様の声に答え、「やわらかおかずセット」をご用意しております。
高齢者に不足しがちな食物繊維やビタミンなどを含む野菜を使った、彩り豊かなメニューです。
・里芋と厚揚げの煮物 54g
・ピーマンの当座煮 40g
・ナポリタン風マカロニキャベツと玉ねぎ 36g
・ほうれん草の錦糸和えとさつま芋甘露煮 33g
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今回は高齢者に嬉しい野菜の栄養素と食べやすくする調理方法をご紹介しました。
野菜には健康を維持するために欠かせない栄養素が豊富に含まれていますが、もちろん野菜だけではなく、一汁三菜を意識したバランスの良い食事をとることがとても大切です。
今回ご紹介した調理方法を参考に、時にはそふまるの商品も取り入れていただきながら、健康的な食生活を送っていただければ幸いです。
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レシピ一覧はこちら監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。