夏がすぐそこまで近づいています。
夏と言えば、気温の上昇とともに体液の喪失が増え、脱水症状が起こりやすくなる季節です。特に高齢者は、脱水症状を引き起こしやすいと言われています。
この記事では、高齢者が脱水症状に陥りやすい原因と、その予防方法について詳しく説明します。さらに、高齢者でも簡単に作れるお茶ゼリーのレシピもご紹介します。
脱水症状を予防し、健康な夏を過ごすためにぜひ最後までご覧ください。
高齢者が脱水症状になる原因とその予防法
体重に対する体内の水分量は年齢とともに減少し、これが高齢者が脱水に陥りやすい一因となります。また、喉の渇きを感じる「口渇中枢」の機能が加齢とともに低下し、必要な水分補給が遅れがちになるという問題もあります。
さらに、糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、夜間のトイレを避けるために水分を摂取しないなど、高齢者には脱水症状を引き起こすさまざまな要因が存在します。
・身体の水分量の減少
・喉の渇きを感じる「口渇中枢」の機能の減退
・食欲不振や嚥下機能の低下による十分な水分の摂取不足
・夜間のトイレを避けるため、睡眠前に水分を摂取しない
・糖尿病による尿量増加、降圧剤による利尿作用
脱水は、重大な病気を引き起こすリスクがあります。日本人の死亡原因の上位である脳梗塞や心筋梗塞の最大のリスク要因の一つが水分不足です。
この二つの疾患は、血液の異常が大きく関係しますが、血中の脂肪が多いことや、高血糖が主な原因です。体内の水分量が不足していると、このような状態の血液をさらに凝縮させることになり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。
気温の変化も、血液の濃度に深く関係します。気温が高い時は、体内の熱を発散させようと血管が拡張することで血圧が低下しますが、汗をかくことで水分と塩などの電解質が失われ血液が濃くなり、血管が詰まりやすくなります。
このような側面からも、夏の水分補給は高齢者にとって非常に大切です。
こんな時は要注意!簡単にできる脱水症状チェック
先ほどお伝えしたように、高齢になると口渇中枢の機能が低下し、高齢者自身が喉の渇きを自覚しにくいため、周囲の人が注意して脱水症状の兆候を見つけることが重要です。
また、屋外へ出掛けることが少なく、室内で過ごすことが多いから大丈夫と油断していると熱中症、脱水症状を引き起こしてしまいます。
その際に以下のチェック項目を参考にしてください。日頃の習慣も含め、該当するものが多いほど、脱水症状になっている危険が高いです。
1つでも当てはまった方は気づかないうちに脱水症状を引き起こしているかもしれません。
水分補給に効果的!お茶ゼリーのレシピ
夏の暑さで体力が低下しがちな高齢者の方に、水分補給ができるお茶ゼリーのレシピをご紹介します。このお茶ゼリーは、嚥下機能が落ちている方でも摂取しやすいため、水分補給におすすめです。
★ レシピのポイント
作りやすい分量で作れる、飲み込みやすいお茶ゼリーです。お好みのお茶で作ってみてくださいね。
お茶.....300ml
粉ゼラチン.....5g
水.....大さじ2(30ml)
〈作り方〉
① 粉ゼラチンに水を入れてふやかします。
② 鍋でお茶を加熱し、温まってきたら②のふやかしたゼラチンを入れます。
③ 鍋肌がプツプツしてきたら加熱を止めます。(沸騰させてしまうと固まりにくくなります)
④ 器に入れて冷やし固めて完成です。
⑤ 冷蔵庫で3~6時間で固まります。しっかり冷やし固めてからお召し上がりください。
☆ おすすめアレンジ
ほうじ茶や麦茶など、お好みのお茶で試してみてくださいね。
☆ 美味しく作るポイント
ゼラチンの主成分はタンパク質の一種であるコラーゲンなので、沸騰させると固まりにくくなります。 ゼラチンが固まらない時は、ゼリー液に追加のゼラチンを混ぜて、再加熱することで再び固まらせることができます。
※今回ゼラチンゼリーをご紹介していますが、被介護者の方の嚥下状態に合わせて、やわらかさの調節や飲み込み易い凝固剤をご使用ください。
水.....1L
・砂糖.....40g
塩.....3g
レモン果汁(あれば).....少量
以上の材料を混ぜるだけで簡単に作れるのでおすすめです。
次に、水分補給のタイミングについて説明します。
入浴前や入浴後など、特定の状況下で水分が失われやすいと言われています。そのような状況を把握し、適切なタイミングで水分を補給することが、脱水症状を防ぐ鍵となります。
また、お風呂だけでなく、喉が渇いていなくてもこまめに水分補給をする習慣をつけましょう。
お風呂に入ると体から水分が失われます。具体的には、41℃のお風呂に15分間浸かった場合、平均800mlもの水分が失われ、シャワーでも約500mlの水分が失われると言われています。
正しく水分補給をするためにも、入浴前・入浴後、それぞれの水分補給のタイミングを習慣づけるとよいでしょう。
お風呂前は、入浴の15〜30分前に水分補給をするのがベストです。水分は、補給をした後すぐに全身へ行き渡るわけではないため、水分が失われ始める少し前に補給することが大切です。
また、反対に1時間前に水分補給を済ませてしまうと、入浴するまでの間に汗や尿などによって体内の水分が失われてしまいます。そのため、お風呂前に水分補給するなら入浴の15〜30分前が望ましいといえます。
さらに、入浴の15〜30分前に水分補給することは、先ほどご説明した脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなる血栓症を防ぐことにもつながります。
お風呂上がりに関しては、出たらすぐに水分補給をするのがベストです。前述したように、41℃のお風呂に15分間浸かった場合、その間に失われる水分量は平均800ml、シャワーでも約500mlです。
つまり、お風呂上がりにはすでにたくさんの水分が体内から失われているため、時間を空けず早めに水分を補給するようにしましょう。
今回は、高齢者の脱水症状についてご紹介してきました。脱水は単なる一時的な症状ではなく、熱中症や重大な疾患を引き起こすリスクがあることがわかりました。
高齢者は自分では脱水症状であることを自覚しにくいため、周りの人が日々の食事から水分補給を心がけてあげることが重要です。
今日ご紹介したお茶ゼリーは水分補給に効果的なだけではなく、気分をリフレッシュさせる効果もあり、まさに夏におすすめのメニューです。お好みのお茶でアレンジして、楽しんでいただけると嬉しいです。
他にもスポーツドリンクをこまめに飲んだり、きゅうりや茄子、すいかなど水分を多く含む食材を料理に使用しても良いでしょう。
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監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。