高齢者の方にとって、糖尿病の管理はとても重要です。特に食事は血糖値をコントロールし、合併症を予防する上で大きな役割を担っています。
食事づくりの献立は、毎日考えるよりも1週間まとめて考えた方が、メリットが大きいです。1週間単位で料理や食材に偏りがないか確認しながら糖尿病に配慮した献立を考えることができます。これにより、栄養バランスを保ちながら、食事を楽しむことができます。
今回ご提案するのは、野菜や魚、肉、豆類などをバランスよく取り入れた朝・昼・おやつ・夕の1週間の献立です。一から全部作るのは大変ですが、そふまるの商品を取り入れることで調理の時短にもなり、かつバランスの良い食事が完成します。
献立の詳細は記事の後半でご紹介します。献立は、日本糖尿病学会の糖尿病の交換表を用いて作成しています。
1日18単位 1440kcal、たんぱく質60g、脂質35g
糖尿病の交換表を用いた各曜日の食事献立表もございます。どうぞ最後までご覧ください。
糖尿病とは
糖尿病とは、血糖値が高くなる病気です。これは、体がインスリンを適切に使用できないか、十分に生産できないことが原因です。インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込むのを助けるホルモンです。
糖尿病は主に2種類に分けられます。1型糖尿病は、主に若い人に見られ、免疫系がインスリンを作る細胞を攻撃してしまう疾患です。一方、2型糖尿病は高齢者に多く、肥満や運動不足が要因で、体がインスリンに対して抵抗性を持つようになります。
この病気は、合併症を引き起こす恐れがあるため、早期の診断と適切な管理が重要です。食事療法や運動、薬物療法を通じて、血糖値を安定させることが必要です。
高齢者における糖尿病の注意点
高齢者における糖尿病管理には、いくつかの注意点があります。まず、血糖値の変動を抑えるために、食事のタイミングや献立内容を工夫することが重要です。特に、食事は規則正しく摂るよう心掛けましょう。
エネルギー摂取量を適正にする
高齢者はエネルギーを摂り過ぎるだけではなく、食事量が不足していないかにも注意が必要です。長年の食習慣で気づかないうちに偏食になっている場合もあります。筋肉量が低下しないようにタンパク質を確保し、食物繊維を積極的に摂取しながら適正エネルギーを確保しましょう。
水分補給で脱水を防ぐ
水分摂取にも注意が必要です。脱水症状を防ぐために、日常的に口が乾く前に水分を補給しましょう。高齢者は食事摂取量が少なくなるともに食事からの水分量摂取量が少なくなるため、飲料から1L~1.5L程度を意識して摂取しましょう。(注:腎臓疾患で水分制限のある方は除く)
糖尿病 高齢者向け1週間献立例
(献立表の✯はそふまるの商品です。)
糖尿病に配慮した高齢者向けの1週間献立例をご紹介します。
この1週間の献立は、糖尿病を抱える高齢者の方々が、健康的にバランスの取れた食事を楽しめるよう工夫されています。
月曜日:高齢者に人気のうなぎをメインにしたメニューで、体力の回復をサポート
火曜日:質の良いタンパク質が摂取できる定番メニュー
水曜日:栄養価の高い食材を介したメニュー
木曜日:バラエティ豊かな味わいを楽しめる構成に
金曜日:和食を中心に麺を取り入れた食事
土曜日:中華を取り入れた変化のあるメニュー
日曜日:和洋折衷の料理で特別感を演出しながらも、栄養バランスを重視した食事
このように、1週間を通して様々な食材を変化にとんだ味わいで栄養素をバランスよく取り入れることができます。
各日の献立詳細
各日の献立詳細についてご説明いたします。1週間の献立は、栄養バランスを考えた多様な食材を使用しています。
月曜日の献立
朝食には、消化が良く栄養価の高いたまご雑炊に、かぼちゃとがんもどきの煮物、もやしとわかめの辛子和えとりんごを組み合わせ、軽やかでありながらタンパク質をしっかり補給でき体のあたたまるメニューです。
昼食には、麦ごはんとともに、少量のうなぎの蒲焼きを取り入れ、長芋とろろや野菜の和え物を添えた滋養豊かなメニューです。
夕食には、ごはんに豚の生姜焼きやなすの煮浸しを組み合わせ、野菜サラダと味噌汁を加えて、満足感と栄養バランスの良さを両立させています。間食には、牛乳とオレンジを用意し、1日の中で不足しがちなビタミンやミネラルを補っています。
火曜日の献立
火曜日の朝食には、野菜を取り入れやすいサンドイッチとポテトサラダに、コーヒー牛乳でリラックスした朝のひとときを楽しめるメニューで、昼食にはタンパク質と野菜がたっぷり摂れる親子丼をメインに、小松菜の炒め物やかぶと青しその浅漬け、わかめとしめじの味噌汁を組み合わせ、満腹感を得られるメニューを用意しました。
間食には、フルーツヨーグルトを取り入れ、ビタミンやミネラルを補給しながら、血糖値の安定を図ります。
夕食では、麦ごはんとともに、当社「そふまる」の冷凍介護食品であるさばの味噌煮を使って手軽に、副菜はれんこん金平やモロヘイヤのお浸し、ぶどうを加えて、食物繊維たっぷりの献立に仕上げています。
水曜日の献立
水曜日の朝食には、塩分を控えて爽やかな風味を活かしたしそ粥をメインに、ほうれん草の錦糸和えとさつま芋の甘露煮、さらに厚揚げと野菜の炒め物を組み合わせ、朝からしっかり栄養を摂取できるメニューを用意しました。
昼食では、ごはんと大豆入りミートハンバーグにナポリタン風マカロニ、キャベツと玉ねぎの炒め物、そして海藻サラダと柿を組み合わせヘルシーな献立にしています。間食には、牛乳とみかんで不足しがちな栄養素を補います。
夕食には、ごぼうと椎茸の炊き込みご飯に、ぶりとまぐろの刺身、焼きかぼちゃ、水菜の煮浸しを組み合わせ、さらに玉ねぎとニラの味噌汁を添えて、食物繊維が豊富で栄養価が高い満足感のあるメニューとなっています。
大豆ミート入りハンバーグ
通常のハンバーグ※1 と比べて、1個当たりのたんぱく質は3.4g多く含まれ、なんと1.5倍です。エネルギーは21kcal低いのであっさり食べたい方や低栄養の方におススメです。
木曜日の献立
木曜日の朝食には、トーストとふわふわのオムレツに、スパイスを使用することで減塩に仕上げたカレーミルクスープ煮と甘いイチゴが添えられ、朝から元気をチャージできる内容となっています。
昼食には、麦ごはんとともに、あじの南蛮漬け、大根のそぼろ煮やチンゲン菜の辛子和え、油揚げと白ネギの味噌汁を組み合わせて、栄養バランスを整えたメニューを提供します。間食には、フルーツや野菜をたっぷりと使用したミックスジュースで、ビタミンやミネラルを補います。
夕食では、ごはんと一緒に、牛肉の甘辛煮やいんげんとさつまあげの炒め物、じゃがいもの青のり和えを楽しみながら、えのきのすまし汁で締めくくる、和食を提供しています。
金曜日の献立
金曜日の朝食には、ごはん食でピーマンの当座煮や冷奴、そして優しい味わいのかき玉汁を組み合わせ、さっぱりとした献立です。
昼食では、やわらかうどんとおにぎりを主食に、鶏の唐揚げ甘辛あんや食物繊維が豊富なひじき煮、そして季節の果物である梨を加えて、麺類のメニューでありながら満足感のある食事です。間食には、牛乳とプルーンを取り入れ、カルシウムや鉄分を補給しながら、健康維持をサポートします。
夕食には、ごはんとともに、豚と野菜のオイスターソース炒めや減塩効果のあるレモン風味の大根なますを楽しみ、さらに里芋と厚揚げの煮物やなめこの赤出しで、質のよいたんぱく質と野菜を摂れるメニューになっています。
土曜日の献立
土曜日の朝食には、トーストとともに、ポトフを加えトマトサラダやコーヒー牛乳を添えた洋食メニューで一日のスタートをサポートします。
昼食には、チャーハンとマーボー豆腐の中華メニューにワカメスープやフルーツ盛り合わせを組み合わせ、食物繊維を補います。間食には、ビタミンやミネラルが豊富なはちみつを使用したはちみつヨーグルトを取り入れました。
夕食には、ごはんにさわらの西京焼きを主菜とし、きのこバターのホイル焼きやオクラのおかか和え、のっぺい汁と沢山の食材を楽しめるメニューです。
日曜日の献立
日曜日の朝食には、さつま芋ごはんを主食に、栄養価の高い目玉焼きや、優しい味わいのなすの煮浸し、もずくの吸い物を組み合わせ、心身をリフレッシュできる内容となっています。
昼食では、赤飯とぶりの照焼きをメインに、牛肉とれんこんの炒め煮、白菜のゆず浅漬け、もやしとニラの味噌汁を添え、特別な日でも栄養バランスを整えたお食事です。間食には、ソフトもち入りフルーツヨーグルトを用意し、普段お餅を召しあがられていない方も安心な粘りを抑えた「ソフトもち」でお餅を楽しめるデザートにしました。
夕食には、トーストに牛乳を使用したえびのクリームシチューをメインにかぼちゃとささみのサラダとオレンジで軽やかにまとめた食事を楽しめる内容です。
栄養バランスの重要性
糖尿病の管理において、栄養バランスは非常に重要です。高齢者の方は、特に多くの栄養素を必要としますが、糖質の摂取をコントロールすることも求められます。栄養バランスの取れた食事は、体力や免疫力の維持に寄与します。
食事は主に、 糖質、たんぱく質、脂質の3大栄養素 を意識して組み立てることが基本です。特に、良質なたんぱく質を意識的に摂取することで、筋肉量を保つことができ、日常生活での自立を促進します。
また、食物繊維を豊富に含む野菜や果物をしっかり摂ることで、消化を助け、血糖値の急激な変動を抑えることができます。
レシピのコツと工夫
糖尿病に配慮した食事を作るには、いくつかのレシピのコツと工夫があります。まず、食材選びが大切です。野菜や魚、豆類を中心にし、糖分や脂肪分の多い食材は避けることが望ましいです。特に、低GI食品を意識して選ぶと良いでしょう。
次に、調理法にも工夫が必要です。揚げ物を控え、蒸したり、焼いたりする方法を選ぶことで、ヘルシーな仕上がりになります。また、味付けには塩分を控え、 ハーブやスパイス、酸味を活用することで、風味をプラスできます。
最後に、食材の彩りを意識することも重要です。色とりどりの食材を使用することで、見た目が華やかになり、食欲を刺激します。これらの工夫を取り入れて、糖尿病に優しい美味しい料理を楽しんでください。
まとめ
今回は、糖尿病を抱える高齢者の方々のために、1週間の献立作りの重要性とポイントをご紹介しました。
1週間分の計画を立てることで、栄養バランスを整えながら毎日の食事を楽しめるように工夫することができます。野菜や豆類、魚、肉などを組み合わせ、必要な栄養素を効率よく摂取できる献立が理想です。安心して食べられる献立作りを心がけ、毎日の食事に変化と工夫を取り入れてみてください。
1週間の全ての食事に活用する必要はありません。その日の気分や体調に合わせて、一日だけ、あるいは一食だけでも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。