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介護食で春を楽しもう!筍ちらし寿司レシピ 

栄養満点!高齢者も食べやすい季節を楽しむ春の山菜レシピ2選


3月31日は「山菜の日」です。
一年を通して収穫できる山菜ですが、特に美味しくて人気があるのは「春の山菜」。

春は様々な植物の新芽が芽吹く季節なので、スーパーなどでも新キャベツや新玉ネギなどの野菜が多く並びますよね。

山菜は年中食べられる野菜とは違い、旬の時期にしか味わえない春の訪れを感じさせてくれる食材です。

山菜と聞くと、「独特の苦味や香りがある」というイメージがあり、苦手という方も少なくないかと思いますが、実はこの独特な風味にこそ、栄養がたっぷり含まれており、優れた健康効果があると言われています。

今回は、春の山菜が持つ栄養素の効果と、高齢者でも食べやすい山菜レシピをご紹介します。

高齢者にもうれしい、春の山菜の栄養素と効果


高齢者にもうれしい、春の山菜の栄養素と効果

冒頭でもお伝えしたように、春の山菜には、独特の苦味を持っているものが多くあります。

この苦味の素となっているものを「アク」とも言いますが、このアクの正体はポリフェノールやシュウ酸、タンニンといった成分です。

これは、山菜自身が虫や動物などの外敵から身を守るため、動物たちが苦手とする味の成分を持つようになったとも言われています。

苦味の正体であるポリフェノールには、強い抗酸化作用があり、老化や生活習慣病の原因物質とされる活性酸素を抑える作用があり、動脈硬化や認知症などの予防効果が期待できます。

山菜の栄養素は野菜と同じで、たんぱく質や脂質は少なく、食物繊維が多いのも特徴です。

また、苦味は山菜の魅力の一つでもありますが、アクが強いものは適度にアク抜きした方がおいしく食べられます。

次項では山菜が持つ栄養素とアク抜きするための下処理方法をご紹介します。

春の山菜とは?

ここでは、「春の山菜」をいくつか取り上げ、栄養素や下処理の方法をご紹介します。

春の山菜とは?

【筍(たけのこ)】
竹の地下茎から出てくる新芽を筍と呼びます。
ずっしりと重みがあり、皮が薄茶色で、穂先が淡い黄色のものを選ぶのがおすすめです。

筍にはたんぱく質やカリウム、チロシン、食物繊維が含まれます。
食物繊維が多く含まれるため便秘の改善効果が期待できます。

<下処理方法>
筍は洗って皮を2~3枚むいて穂先を斜めに3㎝程度切り落とし、縦に3㎝程度切り込みを入れます。

鍋に筍とかぶるくらいの水と米ぬか・唐辛子を加えて火にかけ沸騰したら、落し蓋をして弱火で茹でて竹串が通るようになったら火を止めてそのまま冷ましてアクを抜きます。

【ふきのとう】
ふきの花のつぼみ状態の「花茎(かけい)」です。
蕾が大きく育ったものよりも硬く締まった小ぶりのものを選ぶのがおすすめです。

独特の苦味の正体は、カリウムとポリフェノール化合物のクロロゲン酸によるものです。

クロロゲン酸は、食後の血糖値上昇を抑える働きや、胃酸の分泌を促進し、腸内環境を整えてくれる効果が期待できます。

<下処理方法>
塩を加えた熱湯で茹でて、冷水にさらしてアクを抜きます。

【三つ葉】
全体が鮮やかな緑色で、根本から葉の先までみずみずしいものが、新鮮な三つ葉の特徴です。

三つ葉の中でも「根三つ葉」は、しっかりとした茎と根が特徴で、お浸しや和え物にも向いています。

三つ葉にはβ‐カロテンやカリウムが豊富に含まれ、高血圧予防や視力維持などに効果が期待できます。爽やかな香りには、食欲増進効果もあります。

<下処理方法>
三つ葉はアクが少ないので、生でも食べられます。
熱湯に茎から入れて10秒ほど経ったら葉も入れて30秒程さっと茹でて冷水にとります。

わらび

【わらび】
癖のない香りとぬめりが特徴で、人気の高い山菜です。
産毛が沢山生えていて、茎が太く短いものを選ぶのがおすすめです。

山菜の中で最もビタミンB2が豊富で、活性酸素の除去を促し、肌や粘膜の健康を維持する作用もあります。

<下処理方法>
アクが強いので、しっかりと下処理する必要があります。
わらびは根の硬い部分を切り落とします。

バットなどにわらびを並べ食用重曹をふりかけて熱湯を注ぎ、わらびが浮いてこないように落し蓋をしてひと晩置きます。
わらびが柔らかくなったら、アクの出た水を捨てて、綺麗な水にさらして保存します。

【ぜんまい】
スーパーでは水煮で売られていることが多いですが、生の新鮮なぜんまいは、綿毛が残っていて巻きがしっかりとして、茎が硬いのが特徴です。

山菜の中でもパントテン酸やビタミンAが豊富に含まれています。
パントテン酸は、糖質や脂質、たんぱく質のエネルギー代謝に関わるビタミンB群の1つです。

ビタミンAは視力低下を防ぎ、免疫力アップに効果が期待できます。

<下処理方法>
重曹を加えた熱湯にさっと洗ったぜんまいを入れてひと煮立ちさせてひと晩置き、冷めたら水洗いします。

春の山菜を使ったレシピ2選


ここでは春の山菜を使った、高齢者でも食べやすいレシピを2つご紹介します。
筍ちらし寿司


筍ちらし寿司

★レシピのポイント
高齢者が食べやすいように酢飯はやわらかく、酢の酸味をおさえた甘めの味付けにしました。

今回は油揚げを使用しましたが、牛肉や鶏肉でも美味しく作ることができます。

木の芽の代わりに、菜の花やきぬさやでも春らしいお寿司に仕上がります。


筍ちらし寿司

〈材料〉2人分
無洗米...1合(150g)
昆布(2cm×2cm)...1枚
酒...小さじ1(5g)
水...220g
■合わせ酢
酢...大さじ1(15g)
砂糖...大さじ1(9g)
塩...小さじ1/3(2g)
■寿司の具
水煮筍...40g
油揚げ...10g
人参...25g(5cm)
椎茸...1枚(20g)
薄口醤油...大さじ1(18g)
砂糖...大さじ1(9g)
みりん...大さじ1(18g)
だし汁...200g(1C)
■錦糸卵
卵...1個(50g)
白だし...小さじ1(5g)
■飾り用
木の芽...適量


〈作り方〉
①米は水を入れて30分浸漬させ、その後に酒と昆布を入れて炊飯します。

②ボウルに酢、砂糖、塩を混ぜ合わせ、合わせ酢を作ります。
 レンジで600W30秒温めて砂糖を溶かします。

③水煮筍、椎茸は薄くスライスします。
油揚げはみじん切り、人参はいちょう切りにします。

作り方③
④切った具材と寿司の具の調味料を鍋に入れて火にかけ、落し蓋をして煮詰めて、冷ましておきます。

作り方④
⑤飾り用の筍は取り分けておきます。

作り方⑤
⑥卵はよく溶いて、白だしを加え、薄焼き玉子を作り、細切りにして錦糸卵を作ります。

作り方⑥
⑦ご飯が炊きあがったら、昆布を取り出してボウルに移し、熱々のうちに②の合わせ酢をまわしかけ、しゃもじで底から混ぜます。
最後はごはんをつぶさないように切るように混ぜて酢飯を作ります。

作り方⑦
⑧粗熱をとった酢飯に寿司の具を混ぜ合わせます。

作り方⑧
⑨飾り用の筍と錦糸卵、木の芽を飾りつけたら完成です。

三つ葉の簡単酢味噌和え


三つ葉の簡単酢味噌和え

★レシピのポイント
三つ葉は茎の筋が硬いので、細かく切って葉の部分を少し大きめに切ると食べやすくなります。

酢味噌はレンジで簡単に作れるレシピですが、味噌の風味を残すため味噌は加熱しないのがポイント。

三つ葉の香りが良いので、酢味噌の量は少なめでもさっぱり美味しくいただけます。

β-カロテンやカリウムなどの栄養満点な三つ葉をたっぷり食べることができる、春にぴったりの料理です。


材料
〈材料〉2人分
三つ葉...2袋(80g)
人参...20g
〇酢...大さじ1/2(8g)
〇砂糖...大さじ1(9g)
〇白味噌...大さじ1(18g)


〈作り方〉
①人参は皮をむいて、千切りにします。

作り方①
②鍋にお湯を沸かし、洗った三つ葉を根から入れて1分程茹でます。

作り方②
③茹で上がったら冷水にさらし、水気を切ってからカットします。
2cm程度が短めで食べやすいのでおすすめです。

作り方③
④人参もさっと茹でて、ザルにあげて冷まします。

作り方④
⑤〇の調味料を混ぜ合わせて酢味噌を作ります。
まず砂糖と酢をレンジ600W20秒で温めて溶かし、白味噌を加えて混ぜます。

作り方⑤
⑥ボウルに三つ葉と人参、酢味噌を入れて和えたら完成です。

作り方⑥



今回は、春の山菜が持つ栄養素の効果と、高齢者でも食べやすい山菜レシピをご紹介しました。

春の山菜は美味しいだけでなく、高齢者にも積極的に摂ってほしい栄養素が含まれています。

今回ご紹介したレシピを参考にしていただき、旬の山菜で春の訪れを感じていただくきっかけになれば幸いです。



監修者
上田 稚子(Ueda Wakako)  管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。