介護食の作り方について調べている方や、高齢者に喜んでもらえる介護食を探している方は、「やわらか食」に興味を持っている方も多くいらっしゃると思います。
やわらか食とは、噛みやすく調理された食事のことで、「ソフト食」とも呼ばれています。
今回は、やわらか食の基礎知識と、ご自宅で簡単に作れるレシピをご紹介いたします。
また、そのレシピと相性が良いそふまるで販売中の商品もご紹介します。そふまるのやわらか食はどれも温めるだけですぐに食べることができるので、介護用の食事を探している方、忙しくてご自身で作る時間のない方にも手軽にお試しいただけます。
ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
介護で使われる「やわらか食」とは?
やわらか食とは、高齢者でも食べやすいように作られた噛みやすい食事です。食べる機能が低下した人でも、歯茎や舌・上顎だけで簡単につぶすことができます。
硬いものが食べられない方や、刻み食(5mm〜1cm程度に細かく刻んだ食事)を食べにくいと感じる方にはやわらか食がおすすめです。
これまでの介護食は、刻み食やミキサーで粉砕したペースト食と呼ばれるものが一般的でした。
しかし、ドロっとした形状は本来の食材の姿とはあまりにも見た目が異なるため、食欲がわかず食事が楽しめない方が多くいらっしゃいました。
そこで、介護食でも美味しく食べられるよう「やわらか食」が開発されました。
やわらか食とペースト食の違いは以下のようになります。
・ミキサーや裏ごし器で食材をつぶしたり、茹でたりした後、その柔らかくなった食材をゼラチンなどで固め直し、元の食材の形に近づけている。
・固形状なのでまとまりがあり、誤嚥のリスクがペースト食に比べて低い。
・食材をミキサーで粉砕しているため、簡単に飲み込むことができる。
・食べる際、ドロドロした見た目が実際の食材と結びつかないため、誤嚥が起きやすい。
やわらか食は食べる機能が衰えてきた高齢者でも、安全性だけでなく「美味しく食べる」「楽しみながら食べる」ことができるように工夫されています。
以前のブログでも紹介したことがありますが、食べる際の噛む力がどれくらいなのかを知ることができる基準にUDF(ユニバーサルデザインフード)というものがあります。
UDFに関しての記事はこちら▼
【食事介助の注意点】噛むレベルを知るUDFとは?
日常の食事から介護食まで幅広く使うことができる、食べやすさに配慮した食品です。市販の介護食が増えたことで安定した品質が求められるようになり、2002年に日本介護食品協議会が規格を設けました。
このUDFの基準をもとに食べる方がどの区分にあたるかを知っておくことで、その方に合ったやわらか食を食べていただくことができます。
UDFは下記の表のように4つの区分に分けられており、「区分」というのは「食べやすさ」の目安となる基準で、「かたさ」や「粘度」の規格により分類されています。
軟菜食がこれに当たります。4つの区分の中で最も普通の食事に近い形状とかたさです。具材は一口大の大きさで、通常の食事と見た目の差はほとんどありません。
かたさの目安として苺やりんごのコンポートなどが容易にかめるに該当します。
「容易にかめる」に比べ、具材はティースプーンに乗るくらいの大きさでひと回り小さくなり、かたいものは食べづらいので、歯ぐきでつぶせるやわらかさになるように配慮した区分です。
かたさの目安だと、完熟バナナ、煮込みハンバーグなどが食べられます。
具材をさらに小さくカットし区分②「歯ぐきでつぶせる」よりもやわらかく、口の中でまとまりやすいように配慮された区分です。固形物の具材を含む場合には、舌でつぶせる程度のやわらかさにする必要があります。
かたさの目安だと、魚のほぐし身や缶詰のみかんなどを食べることができます。
この区分は、固形物は小さくても食べづらく、水やお茶も飲み込みづらい方が対象となります。ペースト状やゼリー状など、具材や固形物を含まない均質でなめらかな状態です。
かたさの目安だと、絹ごし豆腐、柔らかいプリンなどかまなくても飲み込めるやわらかさに加え、なめらかな喉ごしのものを食べることができます。
やわらか食を作る際や選ぶ際は、食べる方がどの区分にあたるかをしっかりと把握しておくことで、より安全に食事をしていただくことができます。
そふまるでは、容易にかめる、歯ぐきでつぶせる、舌でつぶせるの3つの区分の商品をご用意していますので、ぜひチェックしてみてください。
ご自宅でも簡単!やわらか食の作り方
やわらか食について知っていただいたところで、ご自宅でも簡単に作れるやわらか食のレシピをご紹介します。
今回は、UDF区分が「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」方向けのレシピのご紹介です。
珍しいなすのカルパッチョでいつもの食卓が華やかになります。
※歯ぐきでつぶせるやわらかさ
☆焼きなすの和風カルパッチョ レシピのポイント
・ソースに醤油やワサビが入っているため、和風の味付けで食べ馴染みのある味わいに仕上げています。
・なすは綺麗に皮をむき、プチトマトは湯むきするため、口当たり滑らかで食べやすくしています。
★美味しく作るポイント
・みょうがや大葉などの薬味を入れることで食欲がそそられるので、ぜひ入れてみてください。
・なすは焼きなすにすることで、ソースの味が染みやすくなり美味しくいただけます。作り方の焼き上がりの目安を参考にしてください。
なす.....1本(85g)
ホタテ(生食用).....2個(24g)
プチトマト.....2個
☆ソース
薄口醤油.....小さじ1(6g)
オリーブオイル.....小さじ1(4g)
米酢.....小さじ1/2(3g)
砂糖.....小さじ1(3g)
わさび.....少々
(お好みで量を調整してください)
だし汁.....10g
ブラックペッパー.....少々
☆トッピング
みょうが.....5g
ブロッコリースプラウト.....5g
大葉.....1枚
〈作り方〉
① なすは、皮がむきやすいようにガクのまわりを一周包丁で切れ目を入れる。
さらに縦にも浅い切り込みを数か所入れて、竹串で全体にまんべんなく穴をあける。グリルの強火で15分加熱する。
※焼き上がり目安は皮に黒く焼き目が付き、竹串ですっとさせるくらいです。
② 加熱後触れるくらいに粗熱が取れたら、上部の切込みから皮をむき、縦に8等分に切る。
③ プチトマトは、湯むきをして、4等分に輪切りする。
※おしりの部分に竹串で一か所穴をあけ、沸騰したお湯に入れます。すぐに皮がめくれてくるので取り出し、冷水につけると簡単に湯むきができます。
④ みょうがと大葉は細く千切りにする。ブロッコリースプラウトは食べやすい長さに切る。
⑤ ホタテは、薄く食べやすい大きさに切る。
⑥ お皿になすとプチトマトとホタテを盛り付け、上からみょうがと大葉とブロッコリースプラウトを混ぜて盛り付ける。
⑦ カルパッチョソースは、ソースの材料を全て混ぜる。⑥で盛り付けたお皿にソースをかければ出来上がり。
※カルパッチョソースにトッピング用のみょうがと大葉とブロッコリースプラウトを混ぜるとより食べやすくなります。
かぼちゃの甘味がほっこりする優しい味わいの茶碗蒸しです。
※舌でつぶせるやわらかさ
☆かぼちゃの茶碗蒸し レシピのポイント
・かぼちゃも卵液と混ぜてザルで濾される工程があるので、なめらかな食感に仕上げることができます。
★美味しく作るポイント
・かぼちゃがつぶしにくい時はだし汁を少し加えるとつぶしやすくなります。
・蒸した時に、かぼちゃが下に沈みやすいので、よく混ぜて耐熱容器に注ぎ、速やかに蒸し器で蒸しあげてください。
(かぼちゃと玉子の層が分離して2層になってしまっても美味しいです!)
冷凍かぼちゃ.....80g
玉子.....1個(50g)
○塩.....ひとつまみ(0.6g)
○薄口醤油.....小さじ1/2(3g)
○だし汁.....120g
三つ葉(飾り用).....4g
〈作り方〉
【下ごしらえ】
・玉子はボウルに入れ、溶いておく。
・調味料は計量しておく。
① 冷凍かぼちゃは耐熱皿に入れて軽くラップをし、電子レンジで500W50秒加熱する。
② かぼちゃの荒熱が取れたら、皮を取り除いてつぶす。
③ 溶いた玉子に、つぶしたかぼちゃを入れてよく混ぜる。
④ ③に○調味料を入れてさらに混ぜる。
⑤ ④の卵液を一度ザルで濾す。
⑥ ⑤の卵液をよく混ぜながら耐熱容器に入れ、蓋をして蒸し器で10~15分加熱する。
⑦ 最後に三つ葉を飾って完成ですが、なくても構いません。
刻んで卵液に混ぜてもいいですし、色味が欲しい場合は、カボチャの皮を刻んだものを彩りで加えてもきれいです。
冷凍で便利、レンジで簡単!そふまるのやわらか食
先ほどご紹介したレシピはどちらも簡単に作れる見た目も美味しい料理ですが、これを何品も作ることは、忙しい毎日ではなかなか難しいですよね。
温めるだけで簡単に食べられる、冷凍のやわらか食を食卓に取り入れて、たまには息抜きをしてみませんか?
そふまるで販売している介護食の中にもUDFの基準に合わせた「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」区分のメニューがたくさんあります。
販売している商品は冷凍なので、その日の気分やメニューに合わせて温めるだけですぐに食べることができます。
ここでは、先ほどご紹介したレシピにぴったりのメニューをご紹介いたします。
※UDF区分「歯ぐきでつぶせる」
☆内容量・・・65g(1個)
☆栄養量(1食あたり)
エネルギー 83kcal、たんぱく質13.2g、脂質 2.0g、炭水化物 3.1g、食塩相当量 0.9g
レシピの「焼きなすの和風カルパッチョ」のメイン料理に豚しゃぶはいかがでしょうか。こちらは焼きなすの和風カルパッチョと同じ「歯ぐきでつぶせる」UDF区分のメニューです。
豚肉の旨みを感じられるシンプルな味の商品ですが、和風カルパッチョと合わせるならゴマドレッシングをかけてお召し上がりいただくのもおすすめです。
実は、レシピで使っているなすは豚肉と一緒に食べることで、たくさんの身体に嬉しい効果があります。この2つを組み合わせることで、ビタミンB1、カリウム、水分を豊富に摂取することができ、疲労回復、夏バテ予防、高血圧予防などの効果が期待できます。
なすに含まれるナスニンが疲れの元になる活性酸素の働きを抑え、さらに豚肉のタンパク質は免疫力アップにつながるため、体が疲れているときには特におすすめの組み合わせです。
これからやってくる暑い季節にもぴったりのメニューです。
※UDF区分「舌でつぶせる」
☆内容量・・・40g(1個)
☆栄養量(1食あたり)
エネルギー 138kcal、たんぱく質5.8g、脂質 12.1g、炭水化物 1.4g、食塩相当量 0.2g
レシピの「かぼちゃの茶碗蒸し」のメイン料理にさばの塩焼きはいかがでしょうか。こちらはかぼちゃの茶碗蒸しと同じ「舌でつぶせる」UDF区分のメニューです。
薄味がお好きな方にもお楽しみいただけるよう塩のみで味付けし、シンプルながらも深い味わいが特徴です。
さばはEPAやDHAなどの必須脂肪酸が豊富なことでも有名な食材です。しかしこの必須脂肪酸はヒトの体内ではつくることができないため、食材から積極的に摂取することが大切なのですが、これらの酸化を防いでくれるのがかぼちゃに多く含まれるビタミンE です。
さばとかぼちゃは両方の栄養効果をさらに高めてくれるぴったりな組み合わせです。
介護食を探すときや、作り方を調べている際などに耳にしやすい「やわらか食」。
その中にも食べやすさの基準となる目安があり、食べる方に合った基準のものを選ぶことが大切だということがわかりました。
そふまるは見た目にも栄養面にもこだわり、さらにUDFの基準に合わせた商品を展開しています。冷凍なので、温めるだけですぐに食べられることも魅力の一つです。
市販の介護食を試してみたい方、日々の食卓に一品加えたい方など様々な方にお気軽にご利用いただける内容になっておりますので、ぜひ一度お試しいただけると嬉しいです。
その他のレシピ
レシピ一覧はこちら監修者
丸亀 真依(Marugame Mai) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として名阪食品株式会社へ入社、特別養護老人ホームの厨房にて、調理業務・衛生管理業務の経験を積む。
その後、保育園・高齢者施設・障がい者福祉施設を担当し献立作成・衛生指導・食育活動に従事しました。
現在はそふまる工房にて、お客様に安心して美味しく食べていただける介護食をお届けするために、日々研究開発を行っております。
日本介護食品協議会