春先になると、花粉症に悩まされる方が多いと思います。
数年前までは「高齢になると症状が軽くなる」、「高齢者は花粉症にならない」と言われていましたが、最近では高齢者でも花粉症を発症する人が増えてきているそうですので注意が必要です。
実は、花粉症と口腔内トラブルには意外な関係性があることをご存知でしょうか?
花粉症により口呼吸になると、唾液が出にくくなり、口の中が乾燥します。
こうした口内環境の変化は、噛んだり、飲み込んだり、話をすることが困難になっていく恐れがあります。
口腔内トラブルを防ぐためには、日頃から食事での花粉症予防が大切です。
今回は、花粉症と口腔内トラブルの関係性と、花粉症予防に効果的な栄養素と食べ物をご紹介します。
最後には花粉症予防レシピを2つご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
高齢者の花粉症と口腔内トラブル
冒頭でもお伝えしたように、花粉症は若い人に多いと思われがちですが高齢者にも増えています。
花粉症になると、様々な口腔内トラブルを引き起こすため注意が必要です。
ここでは花粉症が引き起こす、口内環境の変化をお伝えします。
本来、人は鼻で呼吸をしていますが、鼻水や鼻づまりといった花粉症の症状で鼻呼吸がしづらくなると、口呼吸になってしまい、口内が乾燥しやすくなります。
口呼吸になると、乾燥した空気やウイルスが口や肺に直接入り、ドライマウスや喘息、歯周病といったトラブルの原因になったり、免疫力の低下を招きます。
ドライマウスとは、唾液の量が減って口や喉が乾燥した状態のことです。
話しにくい、乾いた食べ物が食べづらい、味を感じにくい、といった症状が出るだけでなく、 唾液による自浄作用が低下することで、歯周病や虫歯のリスクが高まってしまうのです。
口呼吸は口内の乾燥だけではなく、口腔内トラブルをはじめ、日常生活にも支障をきたすため花粉症の予防対策をきちんと行いましょう。
また、鼻づまりや目のかゆみといった症状が辛い花粉症ですが、実は口腔ケアとも大きな関係があります。
口腔内の乾燥を防ぐため、こまめな水分補給を心がけ、唾液の分泌を促し口腔内を保湿しましょう。
うがいだけでも乾燥を防ぐことができます。
既に花粉症によって口呼吸が続いてる方は虫歯や歯周病のリスクも上がるため、正しい歯磨きはもちろん、口腔ケアは丁寧に行うことが大切です。
花粉症予防に効果的な栄養素の紹介
花粉症は体内に入った花粉に対する免疫反応によって、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こします。
本来は無害である花粉が体に異常をもたらすのは、免疫機能が大きく関わっています。
そのため、免疫を整えるための普段の食事が花粉症対策にも効果的です。
免疫力をアップさせるためには、腸内環境を整え、「善玉菌」を増やすことが大切です。
ここでは、花粉症に効果的な栄養素と食べ物をご紹介します。
【乳酸菌】
乳酸菌には腸内環境を整えて、免疫力を高める効果が期待でき、花粉症の予防・対策に繋がると考えられています。
ヨーグルトやチーズ、キムチなどに多く含まれているので、意識して取り入れましょう。
【ビタミンD】
ビタミンDはカルシウムや骨の代謝に欠かせない栄養素として知られていますが、免疫力の向上やアレルギー症状を改善する作用もあります。
また、日光に当たり、紫外線を浴びることでビタミンDを生成することができます。
【食物繊維】
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。
海藻類やイモ類に多く含まれる水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり腸内環境を整えます。
一方、ゴボウや大豆などの不溶性食物繊維は便のかさを増やし、腸のぜん動運動を促し、腸内環境を整えます。
腸内環境が良くなると腸の免疫機能も向上するので花粉症の症状緩和が期待できると言われています。
ヨーグルト
乳酸菌には腸内環境を整えてくれる働きがあります。
きなこやはちみつ、バナナなど乳酸菌のエサとなるオリゴ糖が含まれた食材と一緒に摂ると、乳酸菌を増殖させてより効果が期待できます。
少量でも毎日摂ることが大事です。花粉症シーズンが始まる3ヵ月くらい前から毎日の食事に取り入れて、腸内環境を整えておきましょう。
れんこん
れんこんは食物繊維のほか、アレルギー疾患に良い影響のあるとされているポリフェノールや、炎症や鼻水を抑える作用のあるタンニンが多く含まれています。
れんこんは花粉症を起こりにくくする役割があるとともに起こってしまった症状を和らげる効果もあるとされています。
青魚
青魚、特にイワシは前述したビタミンDが豊富な他、不飽和脂肪酸と呼ばれるEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれており、これらの成分には抗アレルギー作用があると言われています。
チョコレート
花粉症対策には少し意外かもしれませんが、免疫機能に作用してアレルギー症状を抑える働きが期待できる、カカオポリフェノールが豊富に含まれています。
ココアもカカオポリフェノールが豊富なので、寒い時期にもおすすめです。
梅干し
梅干しにはアレルギーの抑制効果があると言われているバニリンが含まれています。
梅ジャムや梅シロップなどの加工品でも効果があると言われています。
梅干しは1日1粒で十分ですので、花粉症が気になる方は普段から意識して食べましょう。
やわらか食で花粉症予防 レシピ2選
ここでは花粉症予防に効果的な栄養素を豊富に含む食材を使ったレシピを2つご紹介します。
★レシピのポイント
腸内環境を整えてくれるヨーグルトを使用したソースです。
ソースにヨーグルトを使用することで、酸味がアクセントになり減塩効果も期待できるメニューです。
鶏肉は皮から焼き、焼き目を付けることで香ばしさが出て、薄味でも美味しくいただくことができます。
鶏もも肉...160g
小麦粉...4g
〇ヨーグルト(無糖)...60g
〇はちみつ...12g
〇粒マスタード・・・4g
〇レモン果汁...2g
〇塩...0.5g
〇コショウ...少々
〈作り方〉
①鶏肉に小麦粉をまぶします。
②フライパンに油をひき、皮目から焼きます。 焼き目がついたらひっくり返して、中に火が通るまで蓋をして焼いていきます。
③〇の調味料を混ぜ合わせ、ソースを作ります。
④ 焼き上がった鶏肉を食べやすい大きさにカットし、お皿に盛りつけてヨーグルトソースをかければ完成です。
★レシピのポイント
腸内環境を良くする食物繊維が豊富な食材を使用して、高齢者の方でも食べやすいように工夫しました。
野菜を細かく切ることで、しっかりと中まで火が通り軟らかく食べやすい仕上がりになります。
水煮大豆...20g
さつま芋...15g
人参...10g
いんげん...10g
ひじき(乾燥)...6g
サラダ油...4g
〇だし汁...40㎖
〇酒...20g
〇濃口醤油...12g
〇みりん...12g
〇砂糖...4g
〈作り方〉
①ひじきは水で戻しておきます。
②鶏⾁は細かい⼀⼝サイズの⼤きさに切ります。
③さつま芋・人参・いんげんは、食べやすい大きさに細かく切ります。
④深めの鍋にサラダ油をひき、さつま芋と人参を炒めます。
⑤戻したひじきと水煮大豆、〇の調味料を入れて中火で加熱します。
⑥汁気がなくなってきたら、いんげんを入れ、1分加熱すれば完成です。
今回は、花粉症と口腔内トラブルの関係性と、食事でできる花粉症予防についてご紹介しました。
花粉症に限らず、健康的な毎日を送るためにはバランスの良い食事が大切です。
今回ご紹介した花粉症に良いとされる食品やレシピは、薬のように即効性があるものではありません。
花粉症に良いとされる食品だけを摂るのではなく、普段からバランスの良い食事を意識しながら、健康にお過ごしいただければ幸いです。
その他のレシピ
レシピ一覧はこちら監修者
丸亀 真依(Marugame Mai)管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として名阪食品株式会社へ入社、特別養護老人ホームの厨房にて、調理業務・衛生管理業務の経験を積む。
その後、保育園・高齢者施設・障がい者福祉施設を担当し献立作成・衛生指導・食育活動に従事しました。
現在はそふまる工房にて、お客様に安心して美味しく食べていただける介護食をお届けするために、日々研究開発を行っております。