【フレイル予防とは?】高齢者の筋力を支える食事メニュー
2023.04.07
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詳細を見るこんにちは!介護食そふまるライターチームです。
これまで介護が必要な方への食事介助について、レシピや豆知識をお伝えしてきましたが、今回は要介護状態の手前の「フレイル」という状態とは何か、効果的な予防方法や食事メニューについてご紹介いたします。
フレイルの状態を知っておくことで、身体的・精神心理的に虚弱な状態になることを予測・予防しやすくなります。
フレイルとは?
フレイルとは、加齢に伴い筋力や認知機能、社会性など「心身の活力」が低下した状態で、健康な状態から要介護状態へ移行する中間の段階と言われています。
具体的には、加齢に伴う筋力の衰えや、疲れやすくなり家に閉じこもりがちになるなど、年齢を重ねたことで生じやすい衰え全般を指しています。
また、身体的な問題のみならず、認知機能障害やうつ、引きこもりなどの精神・心理的問題も含まれています。
ご自身で気にかかる方、身近に気になる方がいらっしゃる方は、ぜひチェックしてみてください。
フレイルに該当するかのチェックリストがこちらです。
①体重減少
6ヶ月で2kg以上の(意図しない)体重減少がある
②筋力低下
握力:男性28kg以下、女性18kg以下
③疲労感
(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
④歩行速度
通常歩行速度1.0m/秒以下
⑤身体活動
1.軽い運動・体操をしていますか?
2.定期的な運動・スポーツをしていますか?
上記の2ついずれも「週に1回していない」と回答
この5つの評価基準のうち、3項目以上に該当するものをフレイル、1項目または2項目に該当するものをプレフレイル(フレイルの前の段階)、いずれも該当しないものは健常とされています。
要介護状態へのリスクを減らすには?
要介護状態へのリスクを減らすため、進行を予防することがとても大切です。
主に下記の3つの行動が効果的と言われています。
・よく噛んでよく食べること
・適度に運動すること
・社会参加をすること
よく噛んで、バランスよく食べるためには、口の機能を理解し、食事と栄養に関する知識が不可欠になるため、詳しくご説明いたします。
オーラルフレイルとは?
オーラルフレイルとは、「Oral(口)」と「Frailty(虚弱)」を合わせた言葉で、日本語では「口の機能が虚弱の状態」のことを表します。
口の虚弱は、初期段階では些細な衰えとして現れることが比較的多く、見落としてしまうことも多いため、注意が必要です。
例えば、滑舌が悪くなる、食べる際に食べこぼしやわずかなムセがある、かたくて噛みきれない食材が増える、といった症状で現れます。
この些細な衰えが進行していくと、
噛めない→柔らかいものを食べる
→ 噛む機能の低下→ さらに噛めない
という悪循環に陥りやすくなります。結果的に、オーラルフレイルは食欲の低下、さらには全身機能の低下へと進み、要介護状態へとつながるリスクがあります。
このような些細な衰えは、自身では気づかないことも多く、対応が遅くなってしまうこともあるので、周りの方が注意してあげることも大切です。
オーラルフレイルの予防
オーラルフレイルを予防するには、歯と口を健康に保つことが大切です。具体的には、「口の中を清潔に保つこと」、「噛む力を意識した食事」がポイントになります。
【フレイルの予防方法】必要な栄養素とは?
健康で過ごすためには、フレイルを予防することが重要ですが、「これを食べればフレイルを予防できる」という完全食はありません。
低栄養、低体重(低BMI)は、フレイルを進行させる大きな要因となるので、さまざまな食材をバランスよく食べることが最も大切です。ここからは、フレイル予防のための「栄養素の基礎知識」についてみていきましょう。
①エネルギー源である糖質・脂質をしっかり摂る
ヒトの体の主なエネルギー源は糖質と脂質です。高齢になると、野菜中心のヘルシーな食事を摂りがちですが、そのような食事では糖質や脂質の摂取量が不足しがちです。
摂取量が不足している分、自身の筋肉をエネルギー源として分解してしまい、体重減少や筋肉量低下に繋がる可能性があります。
また、糖質の分解によって出来るブドウ糖は脳にとって唯一のエネルギー源です。糖質が不足してブドウ糖が十分に脳に届けられなくなると、集中力の低下など、脳の働きを妨げてしまう原因にもなります。
そこで、まずこの重要なエネルギー源をしっかりと摂る食事を意識しましょう。
糖質
糖質は主に、お米やパン、芋類などの一般的に「主食」と呼ばれるものに多く含まれています。糖質はグリコーゲンと呼ばれるエネルギー源として貯蓄され、筋肉の活動を支える働きがあります。
貯蔵されたグリコーゲンは、およそ1日分のエネルギーしか蓄えることができないので、毎日しっかりと摂取することが望ましいといえます。
脂質
脂質は主に、肉・魚・乳製品・ナッツ・油などに含まれています。
脂質は糖質に比べると長く身体の中で貯蔵することができ、数日から数十日分のエネルギーを蓄えることが可能な栄養素です。
脂質は脂肪として体内に蓄えらえますが、それだけではなく、ホルモンの原料になったり、皮膚や細胞膜、脳細胞の原料にもなります。
高齢者の方は、若年の方よりも脂質の摂取量が不十分な場合があるので、持病がない方は、適度に摂取することが望ましい栄養素です。
②たんぱく質を積極的に摂取しよう
フレイルは、筋肉量の減少も一つの原因です。健康な生活をする上で筋肉量を維持、増強するにはたんぱく質が不可欠です。
たんぱく質は主に、肉や魚、乳製品や豆類などに多く含まれており、ヒトの筋肉や内臓、血液まで身体のあらゆる組織の原料となっていて、生きていく上で欠かせない栄養素です。また、高齢になるとたんぱく質の消化吸収率が下がる傾向にあるので、推奨されている量をしっかりと摂取することが望ましいです。
日本人の食事摂取基準(2020年版)でも、フレイルを予防するために、65歳以上の高齢者はたんぱく質を一日に体重×1.0g以上摂取することが望ましいとされています。
体重が50kgの方は、たんぱく質を1日に50g以上は摂取することが必要です。
たんぱく質が十分に摂取できていないと感じる方、食事介助でたんぱく質たっぷりの食事を作ることが大変だと感じている方は、
例えば、お味噌汁の具に鶏肉や豚肉、お豆腐や油揚げをプラスワンすることで、メニューを増やすことなく、無理のない範囲でたんぱく質の量を増やすことができます。
③筋肉にとってもう一つ重要な栄養素は「ビタミンD」
ビタミンDは、鮭やイワシなどの魚介類、卵、キクラゲや舞茸等のきのこに多く含まれていて、体内のカルシウム吸収を促して骨を増強するとともに、筋肉の合成を促す働きがあります。
それ以外にも身体機能や筋力を向上させ、転倒や骨折のリスクを下げる役割もあります。たんぱく質と合わせて摂取することで、フレイル予防により効果的な食事にすることができます。
また、ビタミンDは紫外線を浴びることで体内で生成されるため、日光浴もフレイル予防に効果的です。
④合言葉は「さあにぎやか(に)いただく」
高齢になると、きちんと食べているつもりでも実は低栄養だった、栄養が不足していた…ということもあります。
そこでバランスの良い食事をとるための合言葉が「さあにぎやか(に)いただく」です。
バランスの良い食事に必要な10の食品群の頭文字をとったもので、ご自身の毎日の食事や食事介助のメニューを考える際にぜひ参考にしてみてください。
【さかな】動物性たんぱく質やカルシウム、ビタミンDが豊富
【あぶら】 適度な油や脂質は、細胞を作るのに必要
【にく】 筋肉の維持・増強に不可欠な良質なたんぱく源
【ぎゅうにゅう】 たんぱく質とカルシウムが豊富
【やさい】 ビタミンや食物繊維が豊富
【かいそう】 ミネラルと食物繊維が豊富
【いも】 エネルギー源である糖質が摂取できる。ビタミン、ミネラルも含む
【たまご】 いろいろな調理法で簡単にたんぱく質が豊富
【だいず】 たんぱく質の元になる。必須アミノ酸やカルシウムも豊富。
【くだもの】 ミネラル、ビタミンが多く、食物繊維が豊富。
主食・主菜・副菜を一食に取り入れて、色々な食材を食べることで、バランスよくとることができます。また、しっかりと噛んで食べることで口の中の健康を保つことも重要です。
フレイル予防に効果的なメニュー
これらを毎日意識して摂ろうとすると、食材もたくさん必要になり、時間もかかりますよね。
そこで、あと一品というときに簡単便利!フレイル予防に効果的なメニューをご紹介します。
かみかみメニュー!【切り干し大根のツナサラダ】
- 切り干し大根 20g
- 人参 30g(1/4本)
- きゅうり 25g(1/4本)
- 乾燥ひじき 2g
- ツナ缶(オイル漬け) 20g
- 塩 少々
●調味料
- 薄口醤油 12g(小さじ2)
- ごま油 8g(小さじ2)
- 鶏ガラだし 2.5g(小さじ1)
・切り干し大根はもみ洗いをして、水気を切らずに置いておく。
・乾燥ひじきはたっぷりの水(分量外)で戻しておく。
・ツナ缶はオイルを切っておく。
- 人参ときゅうりは千切りにして、きゅうりは塩でもんで少し置いておく。
- 人参は耐熱容器に入れ、軽くラップをして電子レンジ500wで2分加熱する。
- 鍋に水を入れ沸かし、戻した切り干し大根を茹でる。ひじきも別の鍋で茹でる。
- 茹で上がったら水気を切り、切り干し大根は冷ましてからしっかりと絞る。
- すべての食材を混ぜ入れ、調味料を入れて味がなじむまで混ぜれば完成。
☆ レシピのポイント
よく噛んで食べることができ、栄養も豊富な切り干し大根に、食感の良いきゅうりと人参を入れました。 ひじきやツナを入れることで一品でもより多くの食材を楽しめるように工夫しています。
普段柔らかいものが多いため、噛む練習になり良かったです。
切り干し大根やツナが入っているため、噛むほどにうま味が出て美味しかったです。
ビタミンDたっぷり!【きくらげとわかめと卵のスープ】
- 乾燥きくらげ(生でも可) 5g
- 乾燥わかめ(生でも可) 1g
- 卵 1個
- 水 400ml
- 鶏ガラだし 7.5g(大さじ1)
・乾燥きくらげ水洗いをして、たっぷりの30度ほどのぬるま湯(分量外)で戻しておく。
※水で戻すと数時間かかる場合があるため、ぬるま湯で戻すのがおすすめです。
・卵は溶いておく。
- 戻したきくらげを2~3㎝の長さに千切りする。
- 鍋に分量の水を入れて沸かし、鶏ガラだしを入れる。
- きくらげとわかめを入れて、ひと煮立ちさせる。
- 溶き卵を入れてさっと煮たら火を止めて完成。
☆ レシピのポイント
ビタミンDを多く含むきくらげを使用し、ビタミンDと共に骨の形成に関わるビタミンKを多く含むわかめを入れることで効果的に栄養素が摂取できます。また、たんぱく質が摂れて、色味もきれいになるため玉子を入れています。
フレイルには「可逆性」という特性もあります。つまり、すでにフレイルの状態にある方でも、効果的な予防を実施することで、その進行を緩やかにし、健康に過ごせていた状態に戻すことができます。
高齢者ご本人だけではなく、身近にいるご家族も日常的に配慮することが大切となりますので、ぜひ参考にしてみてください。
監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。