ベジタリアンやヴィーガンなどの菜食主義の方や、健康・美容志向の方に人気の食材のイメージが強い「大豆ミート」。実は、高齢者の食事としても活用できる食品であることを知っていましたか?
今回は、なぜ大豆ミートが高齢者におすすめなのか、さらにお肉の代替食としてのメリットや介護食として調理するときのポイントなどについてご紹介いたします。
注目度が高まっている大豆ミートとは?
「大豆ミート」とは、主に油分を絞った大豆に熱や圧力を加えて乾燥させることで、お肉のような食感や味に加工した代替肉です。大豆たんぱく、ソイミートなどと呼ばれることもあります。
通常のお肉に比べて脂質が低く、タンパク質が豊富。さらに多くの栄養素を含んでいることから、健康志向の方やダイエット中の方から注目を集めています。
大豆ミートは、大豆を乾燥させて作られているため、水やお湯で戻してから使う「乾燥タイプ」が一般的ですが、そのまま食べることのできる「レトルトタイプ」や「冷凍タイプ」もあり、利用者の用途に応じて使い分けることができます。
また、形状も「ミンチ」「フィレ」「ブロック」の3タイプに分けられます。
【ミンチタイプ】
粒状になっているタイプで、基本的にはひき肉と同じように使えますが、捏ねても粘り気が出ないため、ハンバーグや肉団子を作る際は、つなぎになるものを多めにいれるのがおすすめです。
その他にもパスタソース、キーマカレーや麻婆豆腐などそのまま炒めて使うような料理ですと、より簡単に美味しく召し上がっていただけます。
【フィレタイプ】
こま切れ肉・スライスしたお肉のような形状で、味が馴染みやすく初めて使う方にもおすすめです。回鍋肉や生姜焼きなどを作るのに向いています。
片栗粉をまぶすことで、ぱさつきを抑えることもでき、調味料が絡みやすくなります。
【ブロックタイプ】
ひと口大の角切りのような形状をしているので、鶏肉や豚肉・牛肉の角切り肉と同様にして使うことができます。
食べ応えも十分にあるため酢豚やカレー、唐揚げなどにお使いいただけます。味付けを変えるだけでレパートリーが一気に広がります。
しっかりと噛んで食べることが難しい方には、粒の小さいミンチタイプや、薄切りのフィレタイプがおすすめです。大豆っぽさを少なくしたい場合は、下味をしっかりと付けると味が染み込み、よりお肉に近くなり美味しく感じられます。
大豆ミートの魅力と食べるメリット
お肉の代替え品というイメージが強いですが、通常のお肉にはない注目されている理由や魅力がたくさんあります。
① 脂肪が少なくタンパク質が豊富
高齢になると、若い人よりも一度に食べられる量が減り、体を作るために必要不可欠なタンパク質が不足しがちになります。
タンパク質の多くは、お肉などの動物性のものを摂りますが、消化吸収能力も低下しているため、脂肪が多いと消化に時間がかかり、胃もたれの原因になることがあります。
大豆ミートは、少ない食事量でも脂肪の摂取を抑えながらタンパク質を効率よく摂取することができ、胃腸への負担も軽減することができます。
② 食物繊維が豊富で、お通じ改善も!
食物繊維は、動物性の食材にはほとんど含まれていない栄養素です。
大豆の食物繊維含有量は100gあたり17.9gと、かなり高いと言われているため、お肉の代わりに大豆ミートを使うだけで効率よく食物繊維の補給ができます。
厚生労働省による食物繊維の目標量(65歳以上)は1日あたり男性20g以上、女性17g以上とされていますが、多くの人が目標量を達成できていないと言われています。
食物繊維を摂ることで、腸内環境の改善につながります。
食後の血糖値の上昇を抑える効果や、ナトリウムを体外に排出する効果があるため、糖尿病や脂質異常症、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の予防にも効果が期待できます。
③ 大豆イソフラボンが多く含まれる
大豆ミートには、大豆特有の成分である「大豆イソフラボン」が多く含まれています。
大豆イソフラボンは、血流を促進し、脳内細胞自体の働きを活発にする作用があり、記憶力を高めてやる気を起こす働きがあると言われています。アルツハイマー病の進行を止めた症例も報告されているそうです。
また、メラニン抑制作用により、肌荒れや冷え性などに加え、女性ホルモンのエストロゲンと同じような働きをすることから、さまざまな健康維持に役立つと言われています。 他にも骨粗しょう症の予防と改善や動脈硬化予防が期待できます。
エストロゲンは、女性だけではなく男性の前立腺がんの予防にも役立つと言われています。
④ 脂質が少なく、低カロリー
近年、「食の欧米化」という言葉をよく耳にしますが、その理由は肉料理を頻繁に食べるようになったため、脂肪の摂取が増えたことが関係しています。ひき肉タイプの豚肉と比較すると約95%ほど脂質をカットすることができます。
大豆ミート | 豚ひき肉 | 牛ひき肉 | |
エネルギー | 106kcal | 209kcal | 251kcal |
脂質 | 1.0g | 17.2g | 21.1g |
タンパク質 | 15.4g | 17.7g | 17.1g |
食物繊維 | 5.9g | 0g | 0g |
※値は100gあたり。大豆ミートは湯戻しで3倍量になると仮定
参考文献:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
また、わずかに含まれる脂質の中でも動物性の脂質の中に多く含まれる、飽和脂肪酸がほぼ含まれていません。飽和脂肪酸はエネルギーの元になる重要な栄養素ですが、過剰に摂取すると、血液中のLDLコレステロールが増加し、動脈硬化などの原因になります。
⑤ やわらかくて噛みやすい!
粒の小さいミンチタイプや、薄切りのフィレタイプなど、食べる人に合わせて種類を選ぶことができます。大豆ミートは面倒な下処理等が必要ありません。
調理する際に、とろみをつけるなどの工夫を加えると、さらに飲み込みやすくなり、メニューのアレンジ幅を広げることもできます。
⑥ 保存期間が長く美味しさ長持ち
牛肉や鶏肉、豚肉と違い、長期保存が可能です。
賞味期限は12カ月からと比較的長期です。この期間内であれば味わいも損なわれず美味しくいただくことができます。開封後は空気に触れないようにしっかりと密閉して、直射日光や高温多湿を避けて常温で保管する必要があります。
一般的なレトルトタイプ賞味期限は約18ヶ月です。開封したら一度で使い切る必要があります。未開封のものは高温多湿を避けて保管しましょう。
賞味期限や常温保存か冷蔵保存かは、商品やメーカーによってことなるため、パッケージで確認するようにしましょう。
⑦ 自宅で作ることも可能
市販品ではなく、自分で作ることも可能です。
① 木綿豆腐の水分を切って、8等分にカットする。
② バットなどに並べて冷凍する。
③ 完全に固まったら、電子レンジで1~2分解凍し、粗熱を取り、クッキングペーパーなどで絞って水分を抜く。塊のまま使用する場合はこれで完成。
④ ミンチタイプにしたい場合は、塊を袋に入れて崩す。
「お気に入りの豆腐が使える」や「好きな形にできる」などのメリットもあるので、週末や時間のある際は手作りしてみるのもおすすめです。
そふまる大豆ミート入りハンバーグのご紹介
ここまで、大豆ミートの種類や魅力について紹介してきましたが、忙しい毎日の中では献立を考えることはなかなか難しいと思います。
そこで、豊富で良質な栄養素を確保しつつ、食事介助の負担を減らすことのできる、大豆ミートを日々の介護食でお肉の代替食として取り入れてはいかがでしょうか。
そふまるでは、美味しくて安全に食べることができるよう工夫して作った商品をご用意しています。忙しい食事介助の息抜きに、ぜひお試しいただければと思います。
【大豆ミート入りハンバーグ】
大豆をお肉のような食感や風味に加工した大豆ミートを使用したハンバーグです。
通常のハンバーグのたんぱく質6.8g(1個60gあたり)に対し、大豆ミート入りハンバーグは1.5倍のたんぱく質を摂取することができます。
エネルギーは21kcalと低いので、あっさり食べたい方にもおススメです。
大豆ミート入りハンバーグ
UDF区分:「歯ぐきでつぶせる」
大豆をお肉のような食感や風味に加工した大豆ミートを使用したハンバーグです。 通常のハンバーグ※1 と比べて、1個当たりのたんぱく質は3.4g多く含まれ、なんと1.5倍です。エネルギーは21kcal低いので、あっさり食べたい方や低栄養の方におススメです。
エネルギー 118kcal
たんぱく質 10.2g
脂質 6.4g
炭水化物 4.9g
食塩相当量 0.5g
この商品は、大豆ミートのみではなく、お肉(豚肉・牛肉)も使用することで、高齢者の方でも食べやすい工夫をしています。
粘り気がなく、捏ねても固まりにくいため、お肉を混ぜることで、まとまりのある食べやすい状態に仕上げています。
味付けをしっかりしないと、大豆の味を感じてしまうため苦手という方にもおすすめです。
香辛料にブラックペッパーとナツメグを加えており、ブラックペッパーの辛みと香りがお肉の旨みを引き立て、ナツメグが素材の味を引き立てます。
香辛料の割合を少しずつ変えながら、大豆ミート入りハンバーグとして一番美味しく味わえる配合を吟味しました。
栄養も食べ応えもあり、UDF区分が歯ぐきでつぶせるところも嬉しいポイントです。普段なかなか食事が進まない方にも、ぜひ食べていただきたい一品です。
大豆ミートは、豊富な栄養が含まれているだけでなく、高齢者の方が多く悩む症状や、生活習慣病の改善にも期待できる食材です。美味しく食べられるよう工夫を加えながら、ぜひ毎日の食卓に取り入れてみてください。