
こんにちは!介護食そふまるライターチームです。
高齢者の食欲不振は、身体的な要因に加えて、心理的な要因も大きく影響します。病気や痛み、または孤独感や心配事が食欲に悪影響を与えることが多いため、その原因を理解することが大切です。
今回は高齢者の方の食欲不振の原因と、改善するため方法をご紹介します。

高齢者の食欲不振の原因
高齢者の食欲不振は、なぜ起こるのでしょうか。食欲不振の原因を見てみましょう。
加齢による食欲不振
加齢に伴い、食欲が低下することは一般的に知られています。年齢を重ねることで、体内の代謝が変化し、必要とするカロリーが減少します。その結果、以前は喜んで食べていた食事にも興味を持たなくなることがあります。
さらに、年齢に伴う味覚や嗅覚の変化も食欲不振に影響を及ぼします。食材の味や香りを感じにくくなると、食事に対する楽しみが薄れ、結果として食べることが億劫になるのです。
加齢による身体の変化を理解し、食の楽しさを取り戻す工夫をすることが大切です。
ストレスによる食欲不振
特に、家庭内でのトラブルや孤独感、さらには健康問題などが重なると、心理的な負担が増加しストレスに繋がります。これにより、食事への興味が薄れてしまうことがあるのです。
ストレスが食欲に与える影響は、食事を作ることや食べることに対する意欲を著しく損ないます。栄養不良から虚弱となり体調悪化につながります。
そのため、リラックスできる環境を整えることや、趣味や活動を通じて気を紛らわせることが重要です。社会的な交流を増やすことで、気分が晴れ食事が楽しい時間に変わるかもしれません。
病気による食欲不振
高齢者には、糖尿病や腎臓病、心臓病などの慢性疾患が多く見られ、これらは直接的に食欲に影響を与えることがあります。これらの病気による症状や治療の副作用が、食欲を減少させることがあるのです。
また、消化器系の問題も食欲不振を引き起こすことがあります。食欲がなくなることで、必要な栄養が不足してしまい、さらなる健康問題を引き起こす可能性も考えられます。
病気による食欲不振が見られる場合は、早めに医療機関での相談が重要です。適切な治療や食事指導を受けることで、食欲の回復を目指しましょう。
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食欲不振のリスク

食欲不振は、特に高齢者にとって深刻な健康リスクをもたらします。
栄養不足が進行することで、免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなることがあります。これは、体の抵抗力そのものに影響します。
また、食事が摂れないとエネルギー不足になり、疲れやすくなったり、日常生活に支障をきたすことも考えられます。
さらに、慢性的な食欲不振は、うつや不安を引き起こす要因ともなります。これは、精神的な健康にも影響を及ぼし、高齢者の生活の質を低下させる原因となるのです。
低栄養のリスク
食欲不振が続くと、食事量が減少することで、必要な栄養素が不足し、体力や免疫力の低下を招きます。栄養不足により、病気から回復する力も弱くなり、生活の質が著しく低下する恐れがあります。
また、低栄養は筋肉量の減少を引き起こし、運動機能の低下につながります。これによって転倒のリスクが高まり、骨折などの重大な後遺症を持つこともあるため、注意が必要です。
このように、低栄養は高齢者の生命に関わる重大なリスクであるため、早期に対処することが重要です。栄養バランスの取れた食事を意識し、必要に応じて専門家の指導を受けましょう。
健康状態を悪化させるリスク
必要な栄養素が不足すると、免疫力が低下し、感染症にかかるリスクが増加します。特に高齢者は、風邪や肺炎などの合併症にかかりやすいため、注意が必要です。
さらに、栄養不足は心神状態にも影響を与え、うつや認知症のリスクを高める要因ともなります。
高齢者の食欲を高めるための具体的な改善策
高齢者の食欲を高めるための具体的な改善策を見ていきましょう。
調理方法を変えて食欲を高める
消化にも良い蒸し料理や煮込み料理を取り入れてみてください。食材が持つ旨味を引き出し、柔らかく仕上がるため、噛むのが苦手な方にも適しています。
さらに、スープや雑炊、うどんを活用するのも良いです。温かい汁物や雑炊、うどんなどは喉ごしがよく、栄養素を効率良く摂取できます。また、冷たくてさっぱりとした料理、例えばサラダや果物もおすすめです。これらを組み合わせることで、毎日の食事が楽しみになるでしょう。
調理方法を工夫することで、食欲を増進させることができるため、ぜひ取り入れてみてください。
食事環境の整備
心が落ち着くような音楽や明るい照明を取り入れることで、リラックスした雰囲気を作ることができます。これにより、食事がより楽しめる体験となります。
また、食事の席を決めて、毎回同じ場所で食べることも良いでしょう。習慣化されることで、安心感を得ることができます。
さらに、家庭では家族が同席して一緒に食べることを心がけましょう。コミュニケーションが生まれ、食事を楽しむ気持ちが高まります。高齢者の食事環境を整えることが、食欲改善に繋がります。
食べやすい食材の選択
噛む力や飲み込む力が低下している場合、柔らかくて口当たりの良い食材を選ぶことが推奨されます。
たとえば、柔らかい野菜やフルーツ、豆腐、白身魚の煮魚などは非常に効果的です。また、野菜や玉子を入れた雑炊やスープなどの液体状の食事も、飲み込みやすくするための良い選択肢です。
さらに、食材の調理方法も工夫しましょう。煮る、蒸すなどの調理法は消化を良くするだけではなく、野菜のかさを少なくし無理なく食材の栄養素を摂取することができます。
こうした配慮により、高齢者がより多くの栄養を摂取できるようにサポートできます。

一人暮らしの高齢者向けの工夫
一人暮らしの高齢者の方は食事の時間を決めて、毎日同じ時間に食べる習慣をつけることが大切です。規則正しい生活は、自然と食欲がわきます。
外部のサポートを利用する
一人暮らしの方は食事の準備が大変なことも多く、外部のサポートを利用することで安心感を得られます。
地域の配食サービスを利用することで、栄養バランスの取れた食事を定期的に届けてもらうことができます。食事を自分で作る負担が軽減され、食欲も自然と向上することが期待できます。
また、福祉サービスや介護施設に相談することも検討すると良いでしょう。専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な改善策を見つける手助けになる場合があります。
このように、必要な支援を受けることは、高齢者本人の負担を軽減し、健康的な食生活の維持につながります。

コミュニティへ参加する
地域のイベントやサークルに参加することで、他の人との交流が生まれ、孤立感が軽減されます。
例えば、地域の料理教室や食事会に参加することで、楽しい食事の場が提供されます。新しいレシピを学ぶ機会もあり、食欲を刺激するきっかけになります。さらに、同年代の仲間とワイワイと賑やかな食事を囲むことで、心も満たされ食事に対する意欲が高まることも多いです。
このように、コミュニティ活動を通じて心身ともに充実した生活が送れるようになるため、ぜひ積極的に参加することをお勧めします。
具体的な食事プランの提案
朝、昼、晩の3食を基本に考えてみましょう。朝食には軽めのフルーツやヨーグルト、食パンを取り入れ、栄養を効率よく摂取することが大切です。昼食には鶏のおろし煮、ブロッコリーの温野菜、りんご入りのキャロットラぺ、など見た目にも楽しい食事プレートにしましょう。夕食では体がポカポカ温まる参鶏湯風雑炊とモロヘイヤと納豆のネバネバ和えで栄養バランスの良い食事にします。
介護食そふまるでは、朝食の食パンから普段のお食事に欠かせないお肉/お魚のおかず、ごはん/麺類、デザートまで幅広く提供しています。商品ごとにやわらかさの区分が異なるので是非チェックしてみてください。

高カロリーで栄養価の高い食事
高齢者の食欲不振を改善するためには、高カロリーで栄養価の高い食事が特に重要です。食事の量が少なくなりがちなため、少ない量でもしっかりと栄養が摂れる工夫が求められます。
例えば、アボカドやナッツ類を使用した料理は、良質な脂質を多く含んでおり、カロリーも高いためお勧めです。スクランブルエッグにチーズを加えることで、味わいも増し、栄養価も向上します。
また、クリームシチューやカレーなどの煮込み料理も栄養をバランス良く摂取できるため、食欲をそそるメニューと言えるでしょう。心地よい香りや色合いを大切に、楽しめる食事を提供することが重要です。
簡単に食べられる食品
高齢者の方が食欲不振を感じる際、簡単に食べられる食品を選ぶことが重要です。特に、噛む力や飲み込みに問題がある方には、柔らかく、消化しやすい食材をおすすめします。
煮込み料理やお粥、やわらかい豆腐などは、栄養が豊富でありながらも口当たりが優しいので、無理なく食べられます。また、フルーツの中ではバナナやリンゴのすりおろし、桃の缶詰が食べやすく、甘みもあって喜ばれることが多いです
間食には、ゼリー状の食品やスムージーもおすすめです。フレーバーが豊富で栄養素を手軽に摂取することができます。

まとめ
今回は高齢者の方の食欲不振の原因と、改善するため方法をご紹介しました。
高齢者の食欲不振は、多くの家庭や介護施設で見られる悩みの一つです。年齢と共に、身体の変化や心の状態が影響を及ぼすため、十分な栄養を摂取することが困難になることがあります。
食事では少ない量でもしっかりと栄養が摂れるように高カロリーで栄養価の高い食材を入れるなど工夫することが重要です。
一人暮らしの方は配達サービスを利用するなど、外部のサポートを活用するのも良いでしょう。
監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。